クリパルヨガの特徴④:「段階を踏んで深めていく- ESRIT -」
クリパルヨガの特徴の一つに、
「段階を踏んで深めていく」というアプローチがあります。
この考え方は、ポーズを単に土台から組み立てこなすということではなく、
自分自身の内側と向き合いながら、
心地よく身体を動かしていくことに焦点を当てています。
以前のクリパルヨガでは、
ポーズを「3つのステージ」で深めていく方法がありました。
このアプローチは今もベースとして活かされており、
そこからさらに進化した形として
「ESRIT(エスリット)」と呼ばれる新しい流れが生まれました。
ESRITでは、一つのアーサナ(ポーズ)の中で、
次の5つのステップを順に体験していきます。
E:エンター(導入)
最初のステージは、「エンター」、つまり導入です。
ポーズに入るとき、からだをゆっくりと動かしながら、
呼吸とともにからだを開放していきます。
この段階では、無理なく自分のペースでからだを動かし、
心地よい位置にポーズを落ち着かせます。
からだの準備が十分に整い 、
呼吸が深まり、心が落ち着くことで、
その後のステージに進むための土台が作られます。
この「エンター」の段階は、ただポーズをとるのではなく、
自分の身体を大切にしながら、呼吸のリズムを感じることが重要です。
まるで、自分自身に対して優しく声をかけて見守って、
からだを歓迎するような感覚です。
S:サステイン(維持)
次に訪れるのは「サステイン」、つまり維持のステージです。
この段階では、ポーズを少し保ちながら、
身体の中で起こっている感覚に意識を向けていきます。
ここでは、ポーズを「観る」ことによって、
からだの深層に働きかけることができます。
ポーズを維持することは、からだに流れるエネルギーを感じながら、
心の状態に気づくプロセスでもあります。
ポーズを維持している間、身体の中で微細な変化を感じることがあるかもしれません。
例えば、筋肉の緊張がほぐれたり、
呼吸が深くなったり、
思考が落ち着いていったり、
こうした体験を通して、からだと心の調和が生まれます。
R:リリース(解放)
次のステージは「リリース」、つまり解放の段階です。
ポーズを保持した後、呼吸と共に身体をリラックスさせ、
エネルギーの流れを感じながら、余分な力を抜いていきます。
この時、身体はまるで重力に身を任せるように、ゆっくりと解放されていきます。
リリースは、ポーズから手を放すことで、ただの物理的な緩みだけではなく、
心の中の緊張や固定観念も解放していく瞬間です。
このステージでは、ポーズを終わらせることに焦らず、
自分のペースで「手放し」を経験することが大切です。
解放されたからだの感覚を味わうことによって、
からだだけでなく、心の中の余分なものも自然に手放されていきます。
I:インテグレーション(統合)
次に、ポーズを終えた後の「統合」の段階です。
ポーズを行ったことによって、身体や心に起きた変化をしっかりと感じ、
体験を内面に取り入れる時間です。
ここでは、身体の感覚が整い、呼吸が穏やかになり、
心地よい静けさを感じることができます。
ポーズを行ったことで、からだと心が一体となり、
自己調整が促進される瞬間です。
統合は、ポーズが終わったからといってすぐに次に進むのではなく、
その場で静かに自分を感じ、ポーズがもたらした効果を自分の内側にしっかりと落とし込む時間です。
これによって、ヨガのポーズが単なる身体のエクササイズではなく、
心身の調和をもたらすプロセスであることを実感できます。
T:トランジション(移行)
最後のステージは「トランジション」、つまり移行の段階です。
ポーズを終えた後、次の動きに移るための準備をします。
このステージでは、ポーズから次の動きへとスムーズに移行するために
、呼吸と身体の動きの調和を意識します。
トランジションは、ポーズの中での動きの中で、
いかに自然に次のステップへと導かれるかを大切にする瞬間です。
クリパルヨガでは、無理なく流れるような移行を大切にし、
どの段階でも自分自身のペースで進むことを大切にしています。
無理をせず、焦らず、必要なときには休息をとりながら、
からだの感覚と心の状態に寄り添うことが、最も大切なことです。
・ ・ ・
このように、ESRITの流れは、
クリパルヨガの特徴である「段階を踏んで深めていく」というアプローチを、
一つのアーサナの中で体験できる形へと進化しました。
かつての「3つのステージ」の考え方を土台としながら、
より細やかにひとつひとつのポーズのプロセスを深められるようになっています。
これによって、ポーズごとに新たな気づきが生まれ、
より深いリラクゼーション、自己調整、自己探求が可能になるのです。
「ESRIT」は、かつての「3つのステージ」の考え方である、
『ポーズの基礎』『保持』『動く瞑想』の要素を含みながら、
流れるように自己探求を深めるアプローチとも言えます。
そして、このアプローチの根底には、クリパルヨガの基本である
「今の自分を大切にする」
「ポーズの形よりも内側の感覚を重視する」という考え方があります。
「できる」「できない」ではなく、「今、何を感じているか」を大切にしながら、
その瞬間の自分を見守り続けること。
『見守り続けること』こそが、クリパルヨガの本質。
ヨガを初めて体験する方は、
ヨガがすっと自分に寄り添ってくるように感じるかもしれません。
また、ヨガを続けてきた方が初めてクリパルのエッセンスに出会うと、
新たな感覚や体験に驚くかもしれません。
「ヨガを味わう」「余白、間を味わう」
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クリパルヨガのエッセンスを表している言葉だなと感じます。
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