<ムドラと呼吸法へようこそ——手のかたちが整える心とからだ>
そもそも「ムドラ」とは何なのだろうか。
ヨガの本の中で、あるいは瞑想の写真で、
親指と人差し指を合わせている姿を目にしたことがある方も多いと思います。
あの形こそが「ムドラ」の一つで、サンスクリット語で「印」や「封印」を意味する言葉です。
手や指を特定の形にすることで、
からだの内側の流れや、心の状態を整える働きを持つと言われています。
ムドラは特別な人だけが使えるものではありません。
誰にでもできる、とてもシンプルな方法です。
私たちは普段、知らず知らずのうちに手を組んだり、胸の前で手を合わせたりします。
それらも一種のムドラのようなもので、
からだと心をひとつにする無意識の知恵とも言えるのかもしれません。
古くから伝わるヨガの伝統では、ムドラは瞑想や呼吸法と組み合わせて用いられてきました。
指先をある形に整えることで、呼吸の深まり方が変わったり、
意識が一点に集まりやすくなったりします。
外側に見えるのはただの手の形ですが、その小さな動作が、内側に大きな変化を生み出すのです。
有名なムドラの一つに、親指と人差し指を合わせるものがあります。
誰しも一度は写真などで目にしたことがあるのではないでしょうか。
「チンムドラ」ですね。
本当に多くの種類が伝えられています。
こうした具体的なムドラについては、
これからのクラスの中で実際に体験しながら知り、体験を重ねていただけたらと思っています。
ムドラは私たちの生活にそっと寄り添い、呼吸や心の状態を調える助けになってくれます。
大切なのは、形を完璧に作ることではありません。
どんな形であっても、そこに意識を向け、呼吸とともに微細な感覚を味わうこと。
その体験そのものが、からだと心をひとつに結び直す時間になります。
ヨガの実践は、ポーズや呼吸だけではなく、
こうした小さな所作によっても深まっていきます。
ムドラは難しい理論を覚えなくても、日常の中で自然に取り入れることができます。
たとえば仕事の合間に心を落ち着けたいとき、
寝る前に呼吸を整えたいとき、ほんの数分でも手を形づくり呼吸を感じてみると、
その日の質が変わっていくのを感じられるかもしれません。
ムドラは特別でも、大げさなものでもないと思うのです。
実際、私は昨年の六月から一年四ヶ月ほど、
「カポタムドラ」を全体の調和のために使い続けています。
座るときに自然と「チンムドラ」に手が形づくられる方も、きっと多いのではないでしょうか。
今後「ムドラと呼吸法」のクラスでは、
毎月ひとつのムドラをピックアップして実践していきます。
本などで学ぶだけではわからない、経絡や筋膜のつながりといった現代的な視点からも、
YOGATOらしく考察してみたいと考えています。
他ではあまりない内容になっていくかと思いますので楽しみながら実践してみてください。
伝統に触れながらも、今だからこそできる体験を一緒に育てていけたら嬉しいです。
呼吸とともに、そっと手をかたちづくる。
そのシンプルな所作の中に、深い叡智が隠されています。
これから始まるクラスで、その時間をともに分かち合っていきましょう。
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございます。
