<お尻の柔軟性のために大切なこと – ポイントは背面「仙骨・尾骨」>

<お尻の柔軟性のために大切なこと – ポイントは背面「仙骨・尾骨」>

お尻をやわらかくしたい。。。
そう思ったとき、私たちは

「ほぐす」「ストレッチする」といった方法に意識が向きがちです。

けれど本当にお尻をやわらかくするには、ただ筋肉を伸ばすだけでは足りません。


大臀筋・中臀筋・梨状筋など、お尻の筋肉は、

立つ・座る・歩くといった日常の動きに欠かせない存在です。

固くなる原因は、単なるコリではなく

「使いすぎ・使わなすぎ・偏った使い方」といったパターンに関係しています。

だからこそ必要なのは、「ゆるめる」ことだけでなく、

本来の機能を“目覚めさせる”こと

縮む、支える、感じる──そうした動きの感覚を取り戻していくことが、

お尻を本当の意味で“使える”状態に導いてくれるのです。

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クリパルヨガでは、ポーズの完成度よりも

「今、どんな感覚があるか?」という気づきを大切にします。

たとえば・・・

  • 前側(お腹や太もも前)ばかりが緊張していないか?
  • 後ろ側(仙骨・お尻・裏もも)にもちゃんと感覚があるか?
  • 骨盤は前後どちらかに偏っていないか?

こうした前後のバランスを観察していくと、「前ばかり使って後ろが眠っている」ような、

自分の無意識のクセに気づくことがあります。

そこから「後ろ側を使ってみよう」と意図することで、

特に仙骨・尾骨に意識を向けることが、

お尻の奥をやさしく“目覚めさせる”ことにつながっていきます。

「前後のバランス」に気づくことから始まります。

そして、クリパルヨガの練習には「プレスポイント」と呼ばれる工夫があります。

このアーサナを整えるテクニックはまさに「前後のバランス」の整えです。


“床を意識的に押す”こと、あるいは“方向性を持って動かす”ことで、

からだの奥が静かに目を覚まし同時に前後のバランスも整います。

たとえば・・・

  • 仰向けで片膝を立て、かかとで床をそっと押す
     → 裏もも〜お尻の奥にキュッとした感覚が生まれる
  • テーブルポーズ(四つ這い)で尾骨を下げ、手と膝で床を押す
     → 背骨・骨盤が安定し、仙骨まわりが明確に感じられる
  • グリクシャアーサナ(木のポーズ)で軸足の裏で床を押し下げる
     → 骨盤の安定とともに、地に足のついた安心感が生まれる

ただ「緩める」だけでは出会えなかった、

からだの奥の感覚と静かな力強さが、

こうした小さな“押す”動作から芽生えていきます。

私たちの骨盤の奥、背骨のいちばん下にある仙骨は、

からだの土台であると同時に、呼吸の“支点”としても重要な場所です。

整体的な視点では、仙骨まわりがかたく緊張すると、

前側・・・お腹や股関節周辺にまで緊張が波及し、

全体のバランスを崩すことがあります。

逆に、仙骨がほんの少し緩み、そこに呼吸が届くようになると、

前側のこわばりがふっとゆるみ、

全身が深く「戻っていく」ような感覚が訪れることもあります。

仰向けで仙骨に手を添えて呼吸を感じてみる、

そっとじんわり圧をかけて触れてみる――

そんなやさしいセルフケアから、変化は少しずつ始まります。

仙骨は、からだと心の“支点”なのです。

また、仙骨まわりには、

チャクラの視点でいう第二チャクラ(スヴァディシュターナ)があります。

ここは感情や創造性、内なる流れ、そして“うるおい”のエネルギーと深く関わる場所。

水のエレメントと結びついたこのチャクラは、

「流れに乗ること」「柔軟に感じる力」と関係しています。

仙骨が緊張しているとき、

それは単に筋肉がこわばっているというだけでなく、

心身の流れそのものが滞っている状態かもしれません。

仙骨がふわっとゆるみ、呼吸がそこに届くとき、

第二チャクラのエネルギーもまた、穏やかに目を覚ましはじめます。

お腹の奥が安心して広がり、お尻が自然と“支える側”として参加しはじめる・・・

そんな変化を、あなた自身の感覚でぜひ見守ってみてください。

お尻をやわらかくすることは、特別なヨガのポーズや運動だけに頼る必要はありません。

日々のなかにも、小さなヒントがたくさんあります。

  • 椅子に座るとき、座骨でしっかりと座面を感じてみる
  • 背筋を伸ばすとき、腰を反らせるのではなく、仙骨から起こすように意識する
  • 歩くとき、足で「蹴る」のではなく、お尻の奥が“送るように動く”感覚を探す

これらはすべて、お尻を「自由に動ける状態」へと導く小さな実践。
やわらかさとは、動けること・感じられること・そこに参加できることなのです。

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お尻、そして仙骨・尾骨をやわらかくすること。

それは単に筋肉をゆるめたり、伸ばしたりすることではなく、 

感じる → 気づく → ゆるむ・縮む → 自然に動く

そんな内なる流れの中で、

からだの奥行きや自由さがひろがっていく過程そのものです。

「ヨガを続けていたらからだが変わった」

「特に柔軟体操などせずとも腰痛がなくなった」

・・・その答えは、きっとこのプロセスにあるのだと思います。

必要に応じて、セルフケアを組み合わせながら、

からだとの関係を丁寧に育てていく。

それが、わたしたちの健やかさにつながっていくと

自分自身の体験を経て強く信じています。

今日のポーズや、何気ない日常の一場面の中で、

「お尻はどう使われているだろう?」

「後ろ側も、ちゃんと参加できているかな?」


そんなやさしい問いかけを持ちながら、自分との静かな対話を重ねていく。

心とからだがゆるやかに目覚めていく時間を、一緒に育んでいきましょう。

今日も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。