[浅前線(Superficial Front Line)]
キーワード:姿勢・呼吸・前進・表現
浅前線は、からだの“前面”を頭から足先まで貫くライン。
表層を走るこのラインは、外界とのつながりを支え、
「立つ」「歩く」「呼吸する」といった日常の動きのすべてに関わっています。
足の甲(趾伸筋群)から始まり、
前脛骨筋 → 大腿四頭筋(特に大腿直筋) → 腹直筋 → 胸骨筋 → 胸鎖乳突筋 →
そして頭頂部の筋膜へと続きます。
主な構成:
足背伸筋群 → 前脛骨筋 → 大腿直筋 → 腹直筋 → 胸骨筋 → 胸鎖乳突筋 → 頭頂筋膜
このラインは「姿勢を起こす力」「呼吸を補助する力」を担い、
横隔膜と腹部の動きを通して、
からだの前面全体をしなやかに支えています。
東洋医学で言えば、このラインは「胃経(足陽明胃経)」と重なる流れ。
どちらも、目の下から胸・お腹・横隔膜を抜けて脚の前面を下り、
足の第二趾までを結んでいます。
呼吸・消化・安定というテーマを共有しながら、
“動きと呼吸をつなぐ前面の通路”として働いています。
浅前線(SFL)が硬くなると、
胸郭が下に引かれて呼吸が浅くなり、
前ももの張りや反り腰、胃の不快感、
そして首や肩の緊張などを生み出します。
反対に、このラインがしなやかに働くと、
呼吸が深まり、姿勢の軸が自然に整い、
心身が「前へ向かう」軽やかさを取り戻します。
YOGATOのセルフケアでは
・前もも(大腿直筋)ほぐし
・横隔膜ほぐし
・脚と呼吸をつなぐTrpYTシリーズ〈脚/横隔膜〉
などが、この浅前線を整える実践になります。
SFLは、“外へ向かう力”を支えるライン。
動く・感じる・表現する——
そのすべての基盤として、わたしたちを前へと導いてくれます。
補足:浅前線は、深前線(中心軸)と対をなす存在であり、
深前線が“内側の支え”だとすれば、
浅前線は“外側のひらき”を担うラインです。
前面の柔軟さが、背面や深層の安定と響き合うことで、
からだは本来のバランスを取り戻していきます。
