ヨガと暦と。[秋土用]
「土用」と聞くと夏の「土用の丑の日」が思い浮かぶかもしれませんが、
実は一年に四回あり、四季の間をつなぐ“調整の期間”です。
この時期は、昼夜の寒暖差が大きくなり、
身体も心も揺らぎやすいとき。
自然界では、植物が根へと栄養を戻し、
動物たちが冬支度をはじめるように、
わたしたちのからだも“内へ”とエネルギーを収めていく準備をしています。
秋土用の季節感とからだのリズム
東洋の養生では、土用は「脾・胃」と深く関わる季節。
消化や吸収をつかさどるこの臓腑は、変化の波を受けやすく、
気温差や不規則な生活の影響も受けやすくなります。
冷たいもの、甘いものを控え、
あたたかいスープや根菜を中心に「真ん中を整える食事」を意識してみましょう。
そして、頭で考えすぎず、“感じる”方向へ。自然の変化を五感で味わうことが、
心身のバランスを戻す大きな助けになります。
秋土用の季節におすすめのヨガポーズ
この時期におすすめなのは、太陽礼拝と前後開脚(ハーフスプリット)。
太陽礼拝では、前屈と後屈をゆるやかに繰り返しながら、
からだの前面と背面のバランスを整えていきます。
呼吸とともに動くことで、停滞しやすい“気”の流れを促し、
内臓のめぐりが自然に整っていきます。
ハーフスプリット(アルダ・ハヌマーンアーサナ)は、
太ももの裏を伸ばしながら股関節を柔軟に保つポーズ。
からだの内側の余白が生まれ、股関節がほぐされることで
足先からお腹、胸へと巡る「胃と脾」の経絡の流れをやさしく整えてくれます。
動きの中で、自分の“中心”がどこにあるのかを感じながら、
内側へ戻るように呼吸を深めてみましょう。
秋土用におすすめの養生ポイント
・温めて整える
朝晩の冷え込みに合わせて、腹まわりや足首を冷やさないように。
湯たんぽや白湯を取り入れて、からだの中に温かさを戻しましょう。
・胃腸を休ませる食事
かぼちゃ、れんこん、里芋、にんじんなどの根菜類を中心に。
優しい甘みが消化を助け、土のエネルギーを補います。
・“静けさ”を味わう時間を
無理に動こうとせず、空を眺める、深呼吸をする。
一日の終わりに静かに戻る時間を、意識してみてください。
秋土用の終わりに寄せて
秋から冬へ——
自然もわたしたちも、静けさの方へと傾いていく季節。
太陽礼拝のリズムに合わせて、
一日の中で「動」と「静」のバランスをとりながら、
内側に眠る力をやさしく目覚めさせていきましょう。
秋土用の終わり、
どうぞご自身のペースで、深く呼吸を感じながら過ごしてみてください。
メールマガジンではこのブログの続きのお話や補足を綴ったりなどしています。
季節の変わり目、
“からだの声を聴く”ヒントをぜひ受け取ってくださいね。
秋の終わりと冬のはじまりに、
からだと心をやさしく整えながら、
自然のめぐりを味わっていきましょう。
YOGATO うおざきよしこ
