<横隔膜ほぐしの凄さ>
日々の呼吸が浅くなっていると感じたことはありませんか?
ストレスや姿勢のクセ、運動不足などで、呼吸が浅くなると、
無意識のうちに横隔膜が硬くなります。
横隔膜は私たちの呼吸の要となる筋肉ですが、
その働きは単なる「呼吸のためのポンプ」にとどまりません。
横隔膜は胸郭(肋骨の中)の底に位置し、ドーム状の形をした大きな筋肉です。
吸う息とともに収縮し、
下へと引き下げられることで肺が広がり、空気を取り込むことができます。
そして吐く息とともに緩み、肺から空気を押し出します。
しかし、日常のストレスや緊張、長時間の座位姿勢によって、
横隔膜の動きが制限されると、呼吸が浅くなりがちです。
横隔膜がうまく動かないと、胸での浅い呼吸に頼ることになり、
交感神経が優位になりやすく、リラックスしにくくなるのです。
また、横隔膜は単に呼吸に関与するだけでなく、
体幹の安定にも関わる重要な筋肉です。
横隔膜がしっかりと機能することで、内臓が正しい位置に保たれ、
姿勢の維持や深層筋の働きをサポートします。
●アナトミートレインと横隔膜(深前線)
トーマス・マイヤーズが提唱するアナトミートレイン(筋膜のつながり)の中でも、
横隔膜は「深前線(Deep Front Line)」に属しています。
深前線は、足裏から内転筋、骨盤底筋、腸腰筋、
横隔膜、舌骨筋を経て頭部に至るラインであり、
身体の中心軸を支え、姿勢の安定や呼吸に深く関わります。
(YOGATOのセルフケアで重点的に整えている部分です。)
横隔膜が硬くなると、この深前線のつながりが滞り、
足元から頭部にかけての連動が損なわれることがあります。例えば、
・呼吸が浅くなり、胸や首の緊張が強くなる
・姿勢が崩れ、腰や骨盤周りの違和感が生じる
・内臓の動きが低下し、消化機能が落ちる
このような影響が出るため、横隔膜をほぐし、
柔軟性を取り戻すことは、全身のバランスを整える大切なアプローチになります。
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東洋医学では、横隔膜と肝の経絡(肝経)との関係も深く、
特に章門(しょうもん)と期門(きもん)という経穴(ツボ)は、
横隔膜のリリースに大きく関わります。
章門(しょうもん) は、第11肋骨の下端に位置し、
肝の氣の巡りを良くするとされています。
横隔膜が緊張していると、肋骨周りの硬さも目立ちますが、
章門への軽い刺激は、この周辺の筋肉を緩め、呼吸を深める助けとなります。
期門(きもん) は、第6肋間に位置し、肝の働きを高める重要なツボです。
ここを意識してほぐすことで、肝経も巡りがよくなります。
横隔膜が柔らかくなり、呼吸が深まりやすくなります。
期門(きもん)が肝経の終わり、そして12経絡全ての終点でもある場所です。
だからこそ重要とも言える場所なのです。
そして春は、五行の考え方では「肝」のエネルギーが活発になる季節です。
肝はストレスや感情と深く関わり、滞るとイライラや消化不良、
目の疲れや腰痛などが出やすくなります。
横隔膜と肝経を整えることで、春特有の不調を和らげ、
スムーズなエネルギーの巡りを促すことができます。
特に、深い呼吸とともにこの2つのツボを意識しながら、
軽く手で押さえたり、肋骨周りをマッサージすることで、
横隔膜の動きがスムーズになり、全身のエネルギーの流れが整っていきます。
トリガーポイント・ヨガセラピーでいつも行う3つの準備の3番目「横隔膜ほぐし」
このセルフケアを継続してぜひ行ってみてください。
いつも胡座の姿勢で行っていますが、
腰に不調がある時は膝を立てて曲げた状態で座って行ったり、
仰向けで寝転んで膝を立てて曲げた状態で
肋骨下を軽く手や指で押さえたりする方法があります。
この地味で、シンプルなケアを日常に取り入れることで、
横隔膜の柔軟性が高まり、呼吸の質が向上します。
横隔膜は、呼吸の中心的な役割を担うだけでなく、
身体の姿勢、内臓の働き、自律神経のバランスにも深く関わっています。
横隔膜が硬くなることで、全身に様々な影響が広がりますが、
逆に、横隔膜をほぐし、本来の動きを取り戻すことで、
・呼吸が深まり、リラックスしやすくなる
・姿勢が整い、体幹の安定が増す
・内臓の働きが活性化し、消化や循環が改善される
・エネルギーの巡りが良くなり、心身ともに軽やかになる
・春の季節に起こりやすいストレスや不調を和らげる
といった恩恵を受けることができます。
日々の中でふと「呼吸が浅いな」と感じたとき、横隔膜を意識してケアすることで、
心身のバランスが整い、より快適に過ごせるようになるでしょう。
最近ヨガやセルフケア忙しくてできてなかったな、、そう思った時は
まず、ゆったりとした呼吸とともに、
横隔膜を優しくほぐすことから始めてみてください。
ゆっくり確実に変わっていきます。
のんびりと過ごしながらやってみて下さいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。