<土用の今だからこそ「胃経を整える」すゝめ>

<土用の今だからこそ「胃経を整える」すゝめ>

四季の移ろいの合間に訪れる“土用”。

よく耳にするのは「夏の土用の丑の日」かもしれませんが、

実は「春・夏・秋・冬」それぞれの季節の変わり目に、

「土用の期間」が存在しています。

この時期は、気候が安定しなかったり、

なんとなく気持ちが落ち着かなかったり。

心とからだのリズムが乱れやすくなることも少なくありません。

中医学では、土用は「脾(ひ)・胃(い)」つまり、

消化をつかさどる臓腑に負担がかかりやすい時期とされています。

「食欲がわかない」

「胃がもたれる」「なんとなく疲れが抜けにくい」……

そんなサインが出ているときは、

土用の時期の影響がからだに現れているのかもしれません。

やさしいセルフケアとして “胃経”を整える

そんなとき、ちょっとしたセルフケアとしておすすめしたいのが、

“胃経(いけい)”をやさしく整えること。

東洋医学には「経絡(けいらく)」という、

エネルギーの通り道があります。

胃経はそのひとつで、胃の働きと深く関わるラインです。

流れは、瞳の真下からスタートし、

顔・胸・お腹を通って脚へと下り、足の人差し指まで続いています。

この経絡が滞ると、「胃の不調」だけでなく、

「目のかゆみ」「口元の荒れ」「アレルギー反応」「顔の肌トラブル」など、

表面的な症状としてもあらわれることがあります。

“胃の不調は口元に出る”といわれることもありますが、

それはまさに、胃経が口の横を通って首から下へと流れていくからなのです。

実際、春や秋の土用時期には、花粉や乾燥の影響もあり、

目や顔まわりの不調を感じる方も少なくありません。

つまり、“胃経を整える”ことは、内臓のケアであると同時に、

顔まわりのバランスを整えるケアにもつながっているのです。

経絡と聞くと、ツボ押しや経絡マッサージなど、

少し専門的なイメージがあるかもしれません。

でも今回ご紹介したいのは、

もっとシンプルで、誰でもすぐにできるセルフケアを今日はご紹介します。

それは・・・

足の人差し指と中指のあいだ、“水かき”のような部分をほぐすこと。

胃経に関連するこの部分。

足の甲と指の境目あたりの筋(皮ではなく、筋肉や筋)を、

指先でやさしく挟んでゆるめたり、

軽くつまんでゆらゆらと揺らすように動かしてみてください。

それだけでも、足の感覚が目覚め、

胃経の流れにふっと風が通るような、そんな軽やかさが生まれます。

ここは「ツボ」そのものではありませんが、

“胃経の流れを整えるうえでの、ちいさな入口”のような場所です。

胃が疲れているとき、食べすぎたとき、

なんとなく顔がむくんでいる朝などにも、ぜひ試してみてください。

水かき部分自体が柔らかくなり、足元のバランスが整うと

マットや大地を安定して踏みしめる感覚が深まり、

自然と呼吸やこころまで整ってくる。

身体の末端、足の感覚が整うことで、全身の巡りがふわりと軽くなる。

それは、めぐる感覚であり「安心感の感覚」でもあります。

特に土用の時期は、“何かを始める”というよりも、

「整える」「休ませる」「リセットする」ための時間。

次の季節へと向かう、静かな再生への準備期間なのです。

だからこそ、がんばらず、手軽に、でも深く。

そんなセルフケアとして、

“足指のあいだ”をやさしくゆるめることを、

ぜひ取り入れてみてください。

人によっては、春の「肝」の経絡(親指側の水かき)、

または「胆」の経絡(薬指と小指の水かき)が

キリッと痛む場合もあります。

それもまた、からだからのサイン。「ぱーっと」春の広がりを

もっと心身が求めているサインかもしれません。

痛みがある場合は無理をせず、少しずつやさしく触れてみましょう。

(激痛に感じる方もいます!)

すべての水かき部分を、ぜひ確認してみてくださいね。

・    ・    ・

自分にそっと、やさしく問いかける時間

足元の“水かき”をほぐしながら、

こんなふうに自分に問いかけてみてください。

「今の私は、どう感じてる?」

「なにか我慢していないかな?」

「消化できていない思い、溜め込んでいない?」

土用の時期は、外の世界に振り回されがち。

だからこそ、足元から自分の“内側”へと意識を戻していくことが、

本当の意味でのバランスにつながっていくのだと思います。

いつもがんばっている心とからだに、

そっと手を添え、サポートするようなセルフケア。

この時期だけの特別なこととしてではなく、

季節の移ろいとともに、自分をいたわる習慣の中で、

“胃経を整える”という感覚を、日々のセルフケアに加えてみてください。

今日もまた、皆さんの足元から、

穏やかな巡りが生まれますように。

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございます。