<トリガーポイントとテンセグリティー構造の知恵>
私たちのからだは、バラバラの部品が集まっているわけではなく、
筋肉や骨、内臓、皮膚までもが、
互いに引っぱり合い、支え合いながら全体のバランスを保っています。
このつながりの仕組みを「テンセグリティー構造」と呼んでいます。
建築の世界でも使われている考え方です。
たとえば、ひとつのゴムひもを引っぱると、
その反対側のひもやつなぎ目も一緒に動くように、私たちのからだの中でも、
ある一箇所をケアすることで、離れた場所まで影響が広がっていきます。
整体やボディワークの現場では、この「つながり」をとても大切にしています。
そしてこの考え方は、日常で行うセルフケアにも活かすことができます。
トリガーポイントセラピーでは、心地の良い深い呼吸と共に
筋膜の中にできた「コリ硬結)・トリガーポイント」を押したり緩めたり、
刺激を与えて筋膜・筋肉の緊張をやわらげていきます。
ただし、痛みや不調の原因が、実際に感じている場所とは別にあることも多く、
1ヶ所だけを緩めてもすっきりしないことがあります。
そこで、YOGATOのセルフケアクラスでは
「つながりを意識した2点アプローチ」をお伝えしています。
たとえば腰痛のケアでは、腰そのものに触れるのではなく、
ふくらはぎとお腹の2か所にやさしくアプローチします。
(※脚を上に上げると腰や脚に痛みが出る場合はふくらはぎの刺激は無しです。)
方法はとてもシンプルで、仰向けになり片方のふくらはぎを反対の膝の上にのせ、
少しだけ重みをかけるようにして、
気持ちいいくらいの圧でふくらはぎにあるトリガーポイントに程度刺激を与えます。
そして同時に、お腹―大腰筋や腸骨筋に触れていきます。
このとき、ある程度の強さでいいのです。
必要はありません。ただ「ここにあるよ」と、
特に大腰筋は意識を向けて触れることで変わってきます。
大丈夫です、触れながら呼吸を大事に過ごしてください。
(骨盤の中の腸骨筋はテクニックとして
「ずらす」感覚で皮膚・筋肉・筋膜をある程度動かします。)
この2点に触れながら、呼吸をゆっくり繰り返していくと、
腰まわりの緊張がだんだん抜けて、
からだがぽかぽかしてくるような感覚を覚える方もいらっしゃいます。
からだの深いところにある筋膜や、
筋肉の状態を見張っている「筋紡錘(きんぼうすい)」というセンサーも、
こうしたやさしい刺激を受けることで、
「もうがんばらなくていいよ」と安心してくれます。
緩もうか、、というサインになるのです。
このケアは、ピンポイントの痛みをやわらげるだけでなく、
全体のつながりを整えるアプローチでもあるのです。
このアーカイブコラムで何度も書いている言葉、
「木」もみて「森」も見るです。
「部分的な狙う部分」もみながら、同時に「全体調整」をしている。
「どこが悪いか」「どこを治すか」といった部分的な視点ではなく、
「全体のバランスの中で、どこをゆるめると心地よくなるか」という見方をもつことが、
セルフケアをもっと豊かなものにしてくれます。
肩が凝っていると感じている時、自分が思っている以上に「手」が凝っている
そんな場合もあったりします。
(PCを使うことが追い方、手仕事をされる方は「手のひら」「手の母指球」
を優しく揉んだり押して離して繰り返してみてください。)
私たちのからだは、自分で整う力を持っています。
その力を信じて、そっとやさしく手を添えるだけ。
そのサポートをセルフケアでします。
思いがけない変化が起こることがあります。
今日もあなたのからだが、静かに、
そして確かに整っていくきっかけとなりますように。
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございます。