<カポタアーサナと内観>
「カポタアーサナ(鳩のポーズ)」は、からだを大きく開くと同時に、
内面と深く向き合うポーズです。
胸を広げ、からだの前面を開放するこの姿勢では、
単なる身体的な挑戦を超えて、心との対話が自然に生まれます。
しかし、柔軟性や後屈の動きが得意でない方にとっては、
「胸を開く」という感覚が掴みにくい場合もあるかもしれません。
クリパルヨガでは、ポーズを完成させることよりも、
ポーズに向かう過程での体験を大切にします。
形の完成度にこだわらず、その瞬間にできることを丁寧に味わうことで、内観が深まります。
カポタアーサナの持つエネルギーを感じやすくするためには、
身体をサポートするプロップスの活用が効果的です。
たとえば、前足側のお尻の下にブランケットを入れることで、骨盤が安定し、
上半身が自然と持ち上がりやすくなります。
このサポートによって、胸を開く感覚が掴みやすくなり、
カポタアーサナのもつ拡がりや解放感を感じられるかもしれません。
サポートを使うことは「助けが必要」という意味ではなく、
今のからだに寄り添いながら無理なくポーズを深めるための大切な選択です。
サポートが加わることで余計な緊張が解け、
より深い内観と心地よさを味わえるようになります。
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胸を開く動きには、蓄積された感情を解放する作用があるといわれます。
特にカポタアーサナのように深い後屈では、胸や心臓の周り、
横隔膜の奥深くに潜む緊張が表に現れることがあります。
「胸が開かれる感覚に抵抗や不安を感じる」
「安心感や軽やかさが広がる」
胸を開く。一般的には気持ちがいいとされていると思います。
でもそう思わない場合もあるんです。これ当然です。
みんな違う。
前向きに、明るくなれない時もある。
その状態をただ見守ってあげる。
そういった状態を知り、
「あー、そうなんだな」とただ受け入れたタイミングから、
自分自身が今の状態から変わり出す始まりになるのです。
ポーズの持つ特有のエネルギーや感覚、
意図するものは確かにあります。
でも、それを体験してどう受け取るのかは「貴方」だけのものです。
自分だけの体験です。
身体を通して心が反応する瞬間を、ただ観察してみましょう。
湧き上がる感情に良し悪しをつけず、「そのまま受け取ること」が大切です。
感情を押し込めたり分析したりせず、
「今の自分はこうなんだ」と認めることで、内面的な変化が起きる土台が整います。
カポタアーサナの練習中に、次のような問いかけてみると、内観が深まります。
身体を通して自己の声を聴く練習です。
「この動きに、私の体は何を感じている?」
「この姿勢でとどまると、どんな感覚が現れる?」
「もう少し深めたい?それとも、ここで十分?」
この問いに答えるとき、頭ではなくからだや心の声に耳を傾けることが重要です。
「ここで十分」と感じたら、それが正解です。
「もう少し挑戦してみたい」と感じたら、
その気持ちを大切にしてエッジの探求をしてみてください。
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「エッジ」にとどまることで見えてくるもの
カポタアーサナの「エッジ」――挑戦と快適の境界――にとどまるとき、
心にはさまざまな声が聞こえてくるかもしれません。
「あーちょっときつい?」
「もう無理かも」
「今、このままで大丈夫」
これらの声を観察しながら、自分のあり方を選び直す力を養うことができます。
サポートを使いながらも、自分の「エッジ」にとどまる体験は、
「自己受容」と「自己信頼」を深める大きな力となります。
●変化の受容
胸を開くことで、古い感情や思考が手放され、新しいスペースが生まれます。
サポートを使うことで、こうした変化を安心して受け入れることができるでしょう。
●エンパワーメント
ポーズに挑戦しながら、自分のペースを大切にすることで、自己信頼が育まれます。
この信頼感は、日常生活でも大きな安心感をもたらします。
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カポタアーサナは、形を追い求めるものではなく、
自分自身と向き合うための時間です。
いつもは使っていない方が、ブランケットなどのサポートを使ってみるのもおすすめです。
今のからだに寄り添いながら、ポーズの持つエネルギーを感じてみてください。
「胸を開く」という感覚が少しでも感じられる瞬間、
それがあなたの中で起こる解放や変化の始まりです。
その変化を急がず、ありのまま受け入れてみましょう。
皆さんの内なる世界には、
まだ気づいていない可能性がたくさん詰まっています。
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。