<クリパルヨガにおける「呼吸」のあり方 – 自分らしく、心地よく – >

<クリパルヨガにおける「呼吸」のあり方 – 自分らしく、心地よく – >

呼吸。それは、日常の中では無意識に繰り返しているものですが、

クリパルヨガの場では「今ここにいる自分」を思い出させてくれる、

大切な道しるべとなります。

呼吸と動きを連動させる動きや「ひと呼吸、ひと動作」が基本にありながらも、

そのテンポやリズムに“正解”があるわけではありません。

特に、月礼拝のような流れの中では、深い呼吸と共にゆっくりと動き、

大きく身体の向きや座位に移行する際、焦らずゆっくりと動きます。

途中でポーズにとどまる場面も穏やかに留まります。

たとえば、ローランジ(三日月)やマーラアーサナ(カエル)のポーズで2〜3呼吸ほどとどまり、

その中でからだの感覚を観察する時間を持ちます。

このように、あらかじめ決められたカウントやルールではなく、

その日の参加者の状態や季節の空気感に応じて、

ティーチャーが柔軟にガイドすることがクリパルヨガの特徴のひとつです。

言い換えれば、「どんな呼吸が、今日のあなたにとって心地よいのか?」を

問いかけながら進めていくことが、最も大切なのです。

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呼吸は、私たちの内側の状態を映し出します。

浅く速くなっているとき、そこには緊張や不安があるかもしれません。

逆に、呼吸が深く穏やかであれば、

からだや心はその落ち着きに支えられ、安心感が広がっていきます。

だからこそ、ポーズの正確さやキープ時間以上に、

「いま、自分の呼吸がどんな状態か」を感じ取ることが、自己観察のベースになります。

また、呼吸のペースを自分に合わせて選ぶことは、

心身の安全を守ることにもつながります。

つい「こうしなければ」と思い込んで無理をしてしまうことは、誰にでもあるものです。

ヨガであればテンポが速くなったり、パワーが強くなるポーズになるとなりがちです。

しかし、クリパルヨガでは、その「こうすべき」を一度手放して、

どんなポーズ、状況であっても自分の感覚に寄り添うことを大切にします。

それは、ポーズの形よりも、

自分の内側にある微細な感覚に気づくことを重んじる、という姿勢でもあります。

呼吸と共に動くとき、からだは自然と開かれ、心も柔らかくなっていきます。

動きをリードするのはポーズではなく、呼吸のリズム

深い呼吸が自然に起こる場所にこそ、本当の安定と心地よさがあります。

そして、その呼吸の質を観察することは、

人生の中で何度でも立ち戻れる「わたし自身の中心」を思い出すことでもあるのです。

YOGATOでは、このような呼吸のあり方を土台に、

皆さんが「自分らしいペース」でヨガをして、
今を味わえる「場」であることを大切にしています。

誰かと比べる必要も、速さを競う必要もありません。

今ここにいる自分を、ひと呼吸ごとに丁寧に感じてみる。

その小さな積み重ねが、自分を深く知ることにつながっていきます。

今朝のクラスでは月礼拝を行いました。

立位での動き体側を伸ばすアルダチャンドラアーサナから、

三角のポーズを通って腕を下ろしていく。

この「ひと呼吸、ひと動作」で流れるように動く時間。

それは決して速くなくてもよくて、まずはこの立位のリズムに慣れることから始めてみると、

呼吸と動きのつながりがさらに楽しく感じられるようになります。

ぜひ、「この呼吸は、私にとって心地よいか?」という問いを大切にしながら、

今日の月礼拝のように、ひとつひとつの動きを味わってみてください。

それが、ヨガを自分のものとして育んでいく第一歩になるのだと、

クリパルヨガは静かに教えてくれます。

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございます。