<春風に乗るからだ – 2つのムドラから見つめる巡り>

春は、植物の芽吹きと同じように、
わたしたちの内側でも「上へ、外へ」というエネルギーが強く働きます。
巡りが良くなる一方で、その勢いが強すぎると、頭に血が上りやすくなったり、
胸のあたりに、そわそわとした落ち着かなさを感じたりすることもあります。

そんなとき、「ムドラ」は、あちこちへ散らばろうとする意識を、
もう一度からだの中心へと繋ぎ止める、静かな合図になります。

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今回の2つのムドラは全身へと広がる「巡り」の調整でした。

1つ目は親指と人差し指、中指を合わせる「ヴァーヤン・ムドラ」。
指先をそっと合わせることで、腕の緊張が抜け、
胸が内側からふんわりと広がっていきます。

滞りを無理に流す、というよりも。
呼吸の通り道が、自然に整っていく。
内側の巡りが、本来の穏やかさを取り戻していく感覚です。

このムドラは、心臓血管系の健やかさを支えるものとして伝えられてきました。
例えば、血圧が高まっていたり、血管の硬さが気になったりする時。
それは、からだが外側の刺激に対して、
一生懸命に守ろうと構え、緊張を解けずにいるサインかもしれません。

解剖学的な視点で見れば、親指から腕の内側を通る筋膜のつながりは、
肺や心臓を包む胸郭の動きと深く関わっています。
指先を合わせ、腕から胸へのつながりがやわらぐとき、
血管を包む自律神経もまた、深い休息の色を帯び始めます。

私はすぐに伸ばしている薬指と小指が離れて意識が向かなくなります。
また戻る、を繰り返していました。

小指の”水”、薬指の”地”

この安定と水の流れにフォーカスしてねというサインかな?と
体験から受け取っていました。

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もうひとつの形、2つ目は「ヴィヤーナ・ヴァーユ・ムドラ」。
中心から末端へと、全方向へ広がるエネルギーを整えていきます。
右手は薬指、左手は中指。
あえて左右で異なる指を合わせるこの形は、
脳や神経系へ繊細な刺激を届け、全体のバランスを調律します。

ヨガの知恵では、この巡りが神経の流れをスムーズにし、
からだの通信システム(神経伝達)をやさしく支えると考えられています。

中心から四肢へと、滞りなく「伝わる」こと。
指先で小さな回路が閉じたとき、
すっと全身の輪郭が整っていくような、不思議なまとまりが生まれます。

「巡る」ということは、ただ勢いよく流れることではありません。
からだの隅々までが、互いに連絡を取り合い、ひとつの調和の中にあること。
緊張して硬くなっている場所があるのなら、
それは、からだが何かから自分を守ろうとしている証です。

それを否定せず、ただ見守る。

それだけで、巡りの質は変わっていきます。
春の光は、わたしたちを外の世界へと誘います。
心地よい春風に吹かれるように、
ムドラによって起きる変化に、そのまま身をゆだねてみる。

指先を合わせる。
ただそれだけのことが、日常の中に、静かな湖面のような安らぎを連れてきてくれます。

その手の中に生まれる温もりや、微かな拍動。
目に見えないけれど、
確かにそこにある、内側の流れ。
それを、これからも大切にしていきたいものです。

最後までお読みくださり、ありがとうございます。