私たちのからだの横側は、
ときに盾のように自分を守る場所でもあります。
横側が硬く緊張していると、呼吸の波が届きにくくなり、
肩や首のこわばりにもつながっていくことがあります。
そして、新しい変化を受け入れるための余白も、
少しだけ狭まってしまうかもしれません。
そんなときは、
こめかみから側頭部、首の横、肩へと降りていく胆経のラインに、
やさしく触れてみてください。
手の温度や、触れている感覚を味わいながら、
呼吸とともに、そっとなでていきます。
東洋医学では、こうした流れも大切にされています。
こわばっていたラインがほどけていくとき、
滞っていた巡りが、静かに動き出すことがあります。
今日のクラスでは、寝た姿勢で行う「バナナのポーズ」を取り入れました。
今回は両肘をやさしく抱えて脇を感じやすく行っています。
大きな弓のようにしならせて外側をひらいく時間。
解剖学の視点で見れば、
ここは「外側線(ラテラル・ライン)」と呼ばれる、
からだの側面をつなぐ筋膜の連なりです。
左右のバランスを支え、
私たちの軸を保つ、しなやかなつながり。
ポーズの中で、もし伸びや張りを感じたとき。
それが嫌な痛みでなければ、
少しだけ、そのまま待ってみてください。
待つことで、からだは少しずつほどけていきます。
その変化を見ていく時間もまた、
この実践のひとつです。
・ ・ ・
少しだけ、私の体験をひとつ。
以前、腰に痛みを抱えていた頃、
三泊四日ほどの滞在をしたことがありました。
飛行機に乗ることすら不安で、
行くかどうかを迷いながらの出発でしたが、
現地では、特別なことは何もせず、
ただ静かに過ごしました。
本を読み、やさしくヨガをして、
寝て、バランスよく食べ、
窓から景色を眺める。
そんな時間の中で、最終日、
驚くほどからだがゆるんでいることに気づきました。
前屈も後屈も自然に深まり、
上がらなかった足が頭に上がるほどに。
日常の緊張がほどけたとき、
からだは自然と本来の広がりを取り戻していく。
その感覚は、いまも印象に残っています。
陰の実践にも、どこかそれに近いものがありますね。
だからこそ、無理に深める必要はありません。
心地よさの中でとどまりながら、
変化を見ていくことを大切にしてみてください。
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春の養生は、がんばりすぎないこと。
そして、自分を外側へとやわらかくひらいていくこと。
けれど、焦らずに。
揺れ戻りや、立ち止まる時間も、
そのまま見守っていきます。
もし日常の中で、心が少し閉じたり、
からだが重く感じられたときは、
薬指にそっと触れてみてください。
からだの側面へと手からつながる、小さな入り口です。
手の薬指から始まる三焦経や、
今朝も触れてきた胆経の流れが、
表と裏のように響き合いながら、
からだの外側をひとつの流れとしてめぐっています。
肩井は、その流れが重なり合うような場所でもあります。
指先に触れることで、
その感覚が波のように伝わり、
こめかみや肩の力が、やさしくほどけていくこともあります。
名前を覚えなくても大丈夫です。
ただそのあたりに触れてみることで、
巡りが静かに動き出すことがあります。
これからアーカイブで受講される方も、
ただ読み終えて一日を続ける方も。
いま、この瞬間のご自身の広がりを、
どうぞそのまま、大切になさってください。
深い呼吸がからだの内側に、
心地よい春の余白を運んできますように。
今日も最後までありがとうございます。
