本格的な春へと向かうゆらぎの中、 私たちのからだもまた、
外へ向かいたい気持ちと、
まだ内に留まりたい感覚の間で、 行ったり来たりしているかもしれません。
日々のヨガの時間、呼吸とともに大きな波をつくるように動くこと。
その心地よい躍動を味わいながら、
じっくりとからだの内側に触れ、静かに整えていく。
一見、正反対のように見えるこれらの時間は、
実はひとつのからだを支える大切な「表」と「裏」のような関係です。
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こうした矛盾する二つの要素に出会ったとき。
どちらか一方が正解で、もう一方が間違いだと決めてしまうのではなく、
両方を大切に抱えたまま、一段高い視点へとたどり着くこと。
哲学の世界の言葉では、これを「止揚(アウフヘーベン)」と呼びます。
アウフヘーベンという言葉には、
「否定する」「保存する」「高める」という三つの意味が同時に含まれています。
今の自分を否定せず、これまでの感覚も大切に保存したまま、
より豊かな自分へと更新されていくような、そんなイメージです。
たとえば、きそきそよーがの前屈のクラスでもお伝えしている
「相反抑制(そうはんよくせい)」も、
ひとつのアウフヘーベンのかたちだと言えるかもしれません。
前腿を「使う」という働きと、裏腿を「緩める」という働き。
これらはバラバラに存在しているのではなく、
自然に段々と「滑らかに深まる」という
新しい体験のために互いの役割を抱えたまま、
ひとつの動きへと統合されています。
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私たちの意識も同じです。
「動くこと(表)」が素晴らしいと感じるとき、
その裏側で静かに支えている「休むこと(裏)」の存在を同時に認めてあげる。
一方向の「いいな」に偏らず、その裏側も同時に視野に入れることで、
バラバラに見えていたヨガもセルフケアも、
実は自分を整えるための「ひとつの円」だったのだと気づく瞬間が訪れます。
自分が「いいな」と確信したものに対して、あえてその裏側をのぞいてみること。
それは自分を疑うことではなく、
自分という全体を、より深く、多角的に「目撃」していくための大切な練習です。
光が強ければ、影もまた濃くなります。
その影の部分を無視するのではなく、そっと眼差しを向けてみる。
「あ、反対側にはこんな感覚もあったんだ」
という気づきこそが、クリパルヨガで大切にしている内観の本質であり、
からだを自分仕様に育てていくための知性なのだと思います。
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ジャッジすることなく、ただ「そこにあるもの」を抱えてみる。
その往復を楽しみながら、
また明日もマットの上や日常のひとコマで感じて見てください。
最後までお読みくださり、ありがとうございます。
