<手放す秋、感じるからだ – バナナのポーズというやすらぎ>
夏の熱が静まり、朝晩の風がやさしく肌を撫でる頃。
外に向いていたエネルギーが少しずつ内へ還っていきます。
自然界では、茂った葉が静かに落ちていくように、
私たちのからだも“手放す”季節を迎えています。
そんな秋の入り口におすすめなのが「バナナのポーズ」。
インヨガでは定番ポーズですが、
クリパルヨガでもクールダウンによく取り入れられます。
仰向けで両手足を同じ方向へ伸ばし、からだの側面にやさしい弧を描く姿勢。
見た目のとおり“バナナ”のような形で、伸びとゆるみのバランスが秋にぴったりです。
からだの側面には、呼吸に関わる肋間筋や腹斜筋、
そして外側の筋膜ライン(ラテラルライン)を構成する中臀筋や腸脛靭帯などが通っています。
このラインがやわらぐと、呼吸や姿勢が自然に整い、
夏にこもった熱や湿を流して、秋の乾燥にも備えられます。
寝たまんまできて、簡単にできるのもいいですね。
年中おすすめなポーズです。
ポーズに入ったら、背骨を軸に左右の伸びを感じてみましょう。
腰や背中、肩の下に生まれるわずかな圧や広がり——
その感覚に気づくことで、日々の姿勢の癖が見えてきます。
無理に整えようとせず、「今ここにある感覚」として受け止めてみる。
それが、クリパルヨガで大切にしている内観のあり方です。
体側が開いていく、その広がりのスペース——
この“感じやすさ”が、内観をやさしく支えてくれます。
肋骨が広がり、呼吸が胸やお腹へと自然に通いはじめると、
内側の静けさが少しずつ戻ってきます。
秋は「肺」と関わりの深い季節。
東洋医学では、肺は「悲しみ」とも結びつく臓であり、
深い呼吸が心のスペースを整える助けとなります。
夜のリラックスタイムや眠る前にもおすすめです。
片側を2ー3分ほどキープし、反対側へも同じように。
終えた後、背中をマットに戻すと、呼吸の流れが自然に感じられるでしょう。
その余韻の中で深呼吸が起こるなら、
それはからだが“手放す準備”を始めているサインです。
秋土用を迎えるこれからの時期、
外に向いていた意識を内へと戻し、自分の中心に立ち返ること。
バナナのポーズは、そんな季節の変化をやさしく支えてくれます。
静けさに満ちたひととき、自然の循環の中にある自分を感じながら、
今夜はゆっくりと呼吸してみてくださいね。
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございます。
