<アナトミートレイン-螺旋らせん線(スパイラルライン)解説>
– 腰痛・肩こり・頭痛・不定愁訴との関係 –
螺旋線(スパイラルライン)
代表的な筋肉:
外腹斜筋、内腹斜筋、大腿筋膜張筋、広背筋、
前鋸筋、斜角筋、胸鎖乳突筋などが含まれる螺旋線(スパイラルライン)は、
体幹を横断しながら前後や左右にねじれの動きを生み出し、
全身の安定性を支えるラインです。
このラインは、ねじれや回旋といった動作だけでなく、
姿勢の保持にも深く関わっています。
例えば、日常生活で歩行や腕を使う動作、ひねりながらの作業など、
あらゆる動きで螺旋線が働いています。
代表的な筋肉の並びを見てもわかるように、スパイラルラインは
主にアウターマッスル(表層筋)と呼ばれる筋肉によって構成されています。
これらの筋肉は体表に近い位置にあり、主に動きや姿勢の調整を担っています。
ただし、スパイラルラインの働きはアウターマッスルだけに頼るものではなく、
関連する他のライン や深層筋(インナーマッスル)の安定性も重要です。
たとえば、深前線(ディープフロントライン)、
骨盤や体幹の安定を深層筋がしっかり支えることで、
螺旋線の筋肉が過剰に働きすぎず、スムーズな動きが可能になります。
したがって、スパイラルラインはアウターマッスルを中心に構成されているものの、
インナーマッスルのサポートが欠かせないラインとも言えます。
ここでも、内と外のバランスですね。
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関連する他のライン
では他の関連するラインも見ていきます。
1. 浅後線(スーパーフィシャルバックライン)
背中から脚の裏側を通り、からだの後ろ側を支えるライン。
螺旋線がねじれをサポートする際、浅後線は背中や脚の安定性を提供します。
特に、姿勢保持や腰のサポートにおいて重要です。
2. 深前線(ディープフロントライン)
からだの深層に位置し、骨盤や胸郭などの内部の安定を支えるラインです。
螺旋線と連携することで、体幹の奥深くから姿勢を支え、からだをひねる動作の基盤を作ります。
これが不足すると、ねじりの動きが浅くなりやすいです。
3. 外側線(ラテラルライン)
からだの側面を通り、バランスや横方向の動きをサポートします。
螺旋線のねじれ動作において、外側線が横方向の安定性を補助します。
両者が連携することで、ひねりの動作がより滑らかに行えるようになります。
4. 腕線(アームライン)
腕や肩甲骨を支えるラインで、前後方向に分かれます。
螺旋線が体幹のねじれをサポートする一方、腕線が肩や腕の動きを調整します。
肩から体幹への連動をスムーズにすることで、ねじりや回旋の動作が安定します。
これらのラインが互いに連動することで、全身のねじれや安定性が保たれます。
それぞれのラインを意識的に整えるセルフケアを行うことで、
螺旋線の動きがより効果的に活用され、不調の軽減につながります。
上記の関連性もあった上で、腰痛・肩こり・頭痛・不定愁訴との関係を見てみます。
– 腰痛と螺旋線
腰痛の原因の一つには、螺旋線が過緊張を起こし、本来の動きを妨げることがあります。
螺旋線に含まれる筋肉が硬直すると、骨盤や腰椎周辺の動きが制限され、
腰方形筋や脊柱起立筋に負担がかかります。
これにより、急な動きや長時間の座位が腰に強い負荷を与え、
慢性的な腰痛やぎっくり腰を引き起こしやすくなります。
– 肩こりと螺旋線
螺旋線は肩から骨盤までつながるため、肩や腕の動きと密接に関係しています。
特に、肩こりの原因となる前鋸筋や広背筋が硬くなると、
腕を動かすたびに螺旋線全体が引っ張られ、肩の負担が増大します。
結果として肩こりが悪化し、さらには首や背中の不調にも波及します。
– 頭痛と螺旋線
螺旋線は、頚部や肩甲帯の動きとも連動しています。
首や肩周辺の筋肉が過緊張すると、血流やリンパの流れが滞り、
緊張型頭痛が起きやすくなります。特に斜角筋や広背筋の緊張は、
螺旋線を介して頭部への影響を及ぼしやすいポイントです。
これらの筋肉をリリースすることで、頭痛の緩和が期待できます。
– 不定愁訴と螺旋線
体のねじれや姿勢の不良が続くと、
螺旋線が過剰に働く一方で別のラインが動きづらくなり、全身のバランスが崩れます。
これにより、慢性的な疲労感や集中力の低下、だるさなど、不定愁訴につながることもあります。
螺旋線を整えることは、全身の循環を改善し、こうした不調の予防にも効果的です。
(不定愁訴とは・・・
不定愁訴とは、原因がはっきりしないのに感じるからだや心の不調のことです。
例えば、疲れやすい、頭が重い、肩こりや腰痛が続く、
眠れない、気分が落ち込むなど、さまざまな症状があります。
ストレスや生活習慣が影響していることが多いです。)
螺旋線を緩めることは、腰痛・肩こり・頭痛だけでなく、不定愁訴の緩和にもつながります。
ヨガのアーサナ(ポーズは)意識していなくてもこの螺旋線を整える動きがたくさん入っているのです。
・螺旋線を意識したツイストポーズ
・肩甲骨周辺のリリース
これらは特に有効ですね。
セルフケアだけでなく、繊細に細部を意識的に動かすことをヨガで実践することで
全身のラインを調整することにつながります。
日常の不調が軽減されるだけでなく、動きが楽になる感覚も得られます。
なんとなーく動くではなく、意識的に扱うこと、見守ることを続けてみて下さい。
心地よいからだとバランスの取れた姿勢を作ることが心の落ち着きになるのです。
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございます。
