ヨガと暦と。[大雪 – 冬至]
冷たさの中で、あたたかさに気づく
【大雪】12月7日頃〜21日頃
【冬至】12月22日頃〜1月4日頃
大雪と冬至の季節の気配
大雪を迎え、いよいよ冬も本番へ。
朝の光はやわらかく、空気はきりりと冷たく澄みわたります。
外に出ると、手のひらや頬が冷たさに触れ、
その分だけ、室内のぬくもりがやさしく沁みてくる季節です。
皆さんの住む地域はいかがでしょうか。
この冬は「去年よりあたたかいね」と話す日が多いのですが、
それでも朝晩の空気には、少しずつ冬の気配が混じり始めています。
静けさが深まり、自然がゆっくりと「陰」へ向かう頃です。
どうやら、明日あたりからぐっと冷え込む予報。
季節はゆっくり歩みを進め、
大雪がやってくる地域にお住まいの方もいらっしゃいますね。
冷たさがあるからこそ、
あたたかさに気づく——そんな季節です。
そしてやってくる冬至は、一年のうちで最も昼が短く、夜が長い日。
自然界の「陰」が極まり、そこから新しい「陽」が生まれます。
静けさの底に、小さな光がふっと灯るように、
わたしたちの内側でも、見えない再生の力が静かに動き出します。
冬のからだと養生のヒント
冬のからだは、冷えとともに“締まりやすい”状態になります。
肩や背中、腰まわりにぎゅっと力が入り、
血流や代謝の滞りから「だるい」「眠い」といった感覚も生まれやすくなります。
だからこそ、無理に動かすよりも、
“めぐりを戻す”ことを大切にしてみてください。
温かいものを口にして、吐く息を長めに。
芯がじんわり温まるだけで、からだは驚くほど応えてくれます。
養生の視点では、この季節は「腎」をいたわる時期です。
腎は“生命力を蓄える場所”。
冬の冷えや疲れがそのままエネルギーの枯渇につながります。
黒豆や黒ごま、ひじきなどの“黒い食材”は腎のサポートに。
温かいスープや味噌汁を欠かさずいただくと、
胃腸を冷やさず、消化の火(アグニ)を保つ助けになります。
気分が落ち込みやすいときは、
朝に少しだけ太陽の光を浴びてみましょう。
呼吸が自然に深まり、気の巡りがやわらかく整っていきます。
冬におすすめのアーサナ
マラーサナ(花輪のポーズ)
骨盤底の奥にやさしい刺激を届けながら、
下半身の安定と温もりを育んでいきます。
「地に根をおろす感覚」が深まり、冷える季節に支えとなるポーズです。
セツ・バンダ・アーサナ(橋のポーズ)
重力に対して骨盤を持ち上げ、
下半身の冷えやむくみを整えながらお腹も胸をひらくポーズ。
呼吸の通り道が広がり、停滞がやわらぎます。
ヨガ・ムドラー(内観を深める前屈)
冬至の頃は、静けさがいちばん深まる時期。
前屈の中で内側に意識を向け、心を鎮める時間を。
そしておやすみの時間、シャヴァ・アーサナ(屍のポーズ)と合わせると
“何もしない豊かさ” が静かに満ちていきます。
季節の養生は“処方箋”ではなく“道標”だと思う
二十四節気の流れや季節の養生は、
決まりごとでも、何かを守る処方箋でもありません。
自然の巡りをひとつの目安にして、
自分のからだや心の声を照らしてみるための、やわらかい地図です。
合うなと感じるところだけ、受け取っていいんです。
「なんだか心地いい。」
「なんかええなー。」
その感覚こそが、自分らしい暮らしの指針になります。
季節とともに揺れる自分の内側のリズムを、
少しずつ知っていくこと。
それが、無理のない、続けられる養生だと思うのです。
YOGATO的・二十四節気のヨガについて
「ヨガと暦と。」では、
二十四節気にまつわる陰陽五行論や経絡の流れから、
その季節に合うおすすめアーサナを、YOGATOらしい視点で綴っています。
季節のうつろいとともに、からだの声に耳を澄ませる時間を。
どうぞ、これからもご一緒に。
