<陰と陽の境に立つ季節 – チャクラと東洋思想>

<陰と陽の境に立つ季節 – チャクラと東洋思想>

秋の空を見上げると、雲の流れが少しずつゆるやかになり、

陽の光がやわらかく傾いていることに気づきます。

季節はゆっくりと移り変わり、

夏の熱と冬の冷たさのあいだを行き来しながら、静かな呼吸をしているようです。

この時期、外の自然と同じように、

私たちの内側でも“水と火”のバランスがゆらぎやすくなります。

東洋思想の中でも、とくに「陰陽五行論」では、水は冷やし沈める性質を、

火は温め上昇する性質を持ち、互いに補い合いながら生命を保っていると考えます。


水が深く穏やかに流れるとき、

火はやさしく燃え、全体のリズムは整っていく。

けれどどちらかが強くなりすぎると、

冷えや疲れ、焦りや無気力といった不調が顔を出します。

季節の陰陽の狭間でもある今は、まさにその繊細な調和が試されるときです。

この「水と火」という対は、チャクラの世界にも通じています。

仙骨のあたりにある第2チャクラは“水”の性質を持ち、

感情や流動、そして命を生み出す創造性を司ります。

鳩尾のあたりにある第3チャクラは“火”の性質を持ち、

意志と行動力、内なる光の源。


第1チャクラが「生きるための土台」、

第2チャクラが「生きることを感じる場所」だとすれば、

第3チャクラは「生きることを自分の力で動かす場所」です。

つまり、「私はどう生きたいか」「どんな光を放ちたいか」という、

自分の意志と選択のエネルギーが宿るところ。


第2チャクラが「感じる・受け取る」陰のエネルギーなら、

第3チャクラは「動かす・発する」陽のエネルギー。

水が静かに流れていたところに、火が灯り、

その流れをあたため、方向づけていく——そんなイメージです。


この“内なる火”があることで、私たちは

受け取ったものを自分の中で変化させ、

「自分という存在」として世界に表現できるようになる。

土台が大事ということにも気づかせてくれます。

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東洋思想でもヨガ哲学でも、

行き着く先は「調和」という言葉に近い感覚ではないでしょうか。

それは、どちらか一方を正そうとすることではなく、互いの関係性を理解すること。

陰と陽、静と動、冷と温、受と発。

相反するものが支え合い、めぐり合うところに、いのちの美しさが宿ります。

秋はその真ん中に立つ季節です。

陽の時間が短くなり、自然が静けさへと向かうにつれて、

私たちの内側でも思考や感情が深い層へ沈んでいきます。

けれどそれは暗さではなく、内側の光を再び確かめるための時間。

静けさの中にこそ、やわらかな熱が息づいているのです。

水と火が共にあるように、

わたしたちの中にも冷たさとあたたかさが共存しています。

どちらもなくてはならないもので、どちらも生きるための力。

そのことを思い出すだけで、呼吸が少し深くなり、心がすっと静まっていきます。

自然が教えてくれるリズムに耳を澄ませながら、

外の季節と内の季節を重ねるように過ごしていきたい。

調和とは、止まることではなく、めぐり続けること。

その流れの中で、からだも心も、少しずつ整っていくのだと思います。

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございます。