<腕の重さに気づくとき――今ここにいる感覚とともに>

<腕の重さに気づくとき――今ここにいる感覚とともに>

「四つん這いから片腕を上に振り上げて、

下ろすとき、なぜ“素早く下ろす”のですか?」

YOGATOのクリパル・ジェントルのクラス後に、そんなご質問をいただきました。

四つん這いから片腕を上げて、胸をひらく。

肩や背骨の流れをやさしく感じていくための、

シンプルで奥行きのある動きです。

その中で、ジェントルのクラスやクリパルヨガのウォームアップをする際に

「腕を振り上げて、素早く下ろす」という表現を使うことがあります。

でも実は、“速く動かしてほしい”という意図ではなく……

むしろその逆で、「腕の重さに、身を委ねてみる」ことが本当の目的です。

あとから私も、「素早く下ろす」という言葉は少し違った……と反省しました。

正確には、

「腕の重さを感じながら、その重さにまかせて下ろす」 ということ。

私たちの腕は、思っている以上に重さがあります。

(たとえば体重50kgの女性の腕なら、片腕だけでも1.5〜2kgほど。)

日常では、その重みを無意識に筋肉で支え、コントロールしています。


けれど、その力を少し手放してみると――

腕の重さそのものが、動きを導いてくれる ことがあるのです。

下ろすときに感じる、

「落ちていく感覚」「空気との摩擦」「着地の余韻」。


そのどれもが、“今ここにある自分のからだ”の確かな手ごたえです。

とくに、繰り返しの中でその感覚が深まってくると、

「ただ腕を下ろすだけなのに、なんだか安心する」

そんなふうに感じる方も少なくありません。

このようなアプローチは、「感じること」「内側の気づき」を大切にしている、

クリパルヨガの本質』でもあります。

たとえば…

がんばってコントロールするよりも、少し手放してみること。

結果を求めるよりも、その“プロセス”をじっくり味わうこと。

一見なんでもないような動きにも、

今の自分を映し出すヒントが、静かに潜んでいます。

もしかすると、初めてこの動きを体験したとき、

「シンプルだけど、なんだか他のヨガとちがう」

そんな“ちょっとした違和感”や“新しい感覚”を覚えた方もいたかもしれません。

その感覚こそ、じぶんにしか出会えない気づきの入口。

からだと心の自然な声に、そっと耳をすませる時間です。

これは、ヨガの時間に限らず――

新しいことに挑戦するとき、知らない場所へ踏み出すときも、同じですね。

そこには、きっと新しい自分や、やさしい変化が待っています。

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ヨガは、正解を決める場所ではなく、

感じたことを、そのまま受けとめる「自己対話の場」です。

今日の感覚も、
きっとどこかで、新しい自分とのつながりへと続いています。

どうぞこれからも、安心して、

「じぶんだけの感覚」を味わってみてくださいね。

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございます。