朝、目が覚めてからの時間を過ごすなかで、
背面の存在をどれくらい感じているでしょうか。
私たちの意識は、どうしても目に見える「前側」や、
思考が集まりやすい「頭」に偏りやすいものです。
毎月の仙骨/背骨を整えるクラスでは、
この意識の届きにくい背面に静かにフォーカスする時間。
仙骨から背骨、そして頭頂へとつながる一本のラインを、丁寧に整えていきます。
東洋医学では、この背中の中心を通るラインを「督脈(とくみゃく)」と呼びます。
昨日のコラムで触れた、
からだの前側を通る「任脈(にんみゃく)」が、受容や潤いと関わるのに対し、
督脈は、“立つ力”や“前へ進む力”と関わる「陽」の巡りを司る経絡です。
この二つは、前後で対になりながら、円を描くように巡っています。
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背骨は、小さな骨が積み重なってできています。
その一つひとつの間に静かに呼吸が届いていくとき、
神経系は少しずつ安心を取り戻していきます。
毎月のクラスで行っている「仙骨背骨調整」は、
背骨を無理に「動かす」のではなく、
微細な振動を起こし、その響きを受け取っていくこと。
オステオパシーの考え方にも通じる、とても繊細なアプローチです。
解剖学的に見ると、背骨は中枢神経である脊髄の通り道でもあります。
仙骨まわりのこわばりをゆるめ、
背骨へ向かって揺らぎを起こしていく過程は、
骨格だけではなく、神経の伝達路へやさしく働きかけていく時間でもあります。
仙骨から後頭部へとつながる硬膜。
それは、脳や脊髄を包む膜でもある。
その緊張が微細な振動によって静かにほどけていくとき、
頭や首まわりまで、少しずつ静けさが広がっていく。
そんな見方もできるアプローチです。
大きく変えようとするのではなく、
今の自分が受け取れる範囲で、揺らぎに身を委ねていく。
すると、頑なだった場所が少しずつゆるみ、
からだ自身が安心を思い出していく。
それは「知識として理解する」というより、
からだが直接知っていく感覚なのかもしれません。
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背中が硬くなっているとき、
私たちの心もまた、どこかで「構えて」いることがあります。
無理に背筋を伸ばそうとするのではなく、
まずは、そこにある緊張に気づき、
小さな揺らぎを置いていく。
すると、背中側には思っている以上に
豊かな奥行きがあることに気づかされます。
自分の後ろ側に“静かな支え”を感じられるようになると、
自分の中心が安定してくる。
新緑が眩しいこの季節。
外の世界は活気に満ちていますが、
私たちのからだの内側には、いつでも静かな森のような場所があります。
けれど日常に追われていると、
その森の広さを、いつの間にか忘れてしまうことがあります。
目の前の不調や緊張という「木」を見ること。
そして、その木々が息づく「森」全体を感じていくこと。
部分と全体。
その両方に意識を向けることで、
からだとの関わり方は、少しずつやわらかく変わっていきます。
「背骨がふんわり浮いているような感覚」
「仙骨のあたりが温かく、静かに落ち着いている感覚」
もしそんな微細な変化が起きているなら、
それが今の自分自身からの応答なのかもしれません。
背骨という一本の軸に身を委ね、
そこを流れる静かな呼吸に耳を澄ませていく。
その積み重ねが、
外側の揺らぎに飲み込まれない「自分の中心」を、
少しずつ育ててくれるのだと思います。
背中側に広がる、その静けさと揺らぎを。
忙しいなと感じる時こそ、ときどき思い出していただけたら嬉しいです。
今日も、ご自身の健やかさと共にありますように。
最後までお読みくださり、ありがとうございます。
