<相反抑制作用を活かした前屈の深め方>

<相反抑制作用を活かした前屈の深め方>

私たちが前屈をするとき、「柔らかくなりたい」と思うことが多いかもしれません。

しかし、ヨガのポーズは単なるストレッチではなく、

自分の身体との対話の場でもあります。

特にクリパルヨガでは、形にこだわるのではなく、

どのように身体が変化し、どのような感覚が生まれるのかを大切にします。

今回は、「相反抑制作用」という身体の仕組みを活かして、

無理なく前屈を深める方法を探っていきましょう。

●相反抑制作用とは?

相反抑制作用とは、ある筋肉が収縮すると、

その拮抗筋(反対の動きをする筋肉)が自然に緩むという神経の働きのことです。

たとえば、肘を曲げるとき、上腕二頭筋(力こぶの筋肉)が収縮し、

反対側の上腕三頭筋(腕の裏側の筋肉)が自然と緩むのと同じ仕組みです。

前屈の際にもこの作用を利用することができます。

股関節を曲げる(屈曲する)ためには、

大腿直筋や腸腰筋といった股関節屈筋群が働く必要があります。

その一方で、ハムストリングス(太ももの裏側の筋肉)や大臀筋(お尻の筋肉)は、

股関節を伸展(足を後ろに伸ばす動き)させる筋肉です。

つまり、「股関節屈筋群」を意識的に働かせることで、

ハムストリングスや大臀筋が自然と緩み、無理のない前屈へとつながるのです。

●クリパルヨガの視点で見る前屈

クリパルヨガでは、ポーズを深めることよりも

「今の自分の状態を受け入れること」が大切にされています。

たとえ身体が硬くても、それをジャッジせず、

呼吸とともに今の感覚を観察することから始めます。

前屈をするとき、多くの人が「もっと深く折りたたまなければ」と思いがちですが、

重要なのは股関節の動きです。

「前屈は股関節の屈曲である」認識も重要なのです。

腰や背中を丸めるのではなく、股関節から動きを始めることで、

安全に前屈を深めることができます。

それは、相反抑制作用を活かすことにも繋がり、余計な力みを手放して、

より穏やかに、身体を開いていくことが可能になります。

クリパルヨガにはポーズを深める「プレスポイント」というテクニックがあります。

「プレスポイント」とは、身体の特定の部位に意識・力を向けて

押したり働かせたりすることで、安定感や伸びを引き出す手法です。

これを前屈に応用することで、股関節の屈曲がスムーズになり、

より快適にポーズを深めることができます。

YOGATOではクリパルヨガの実践、

感じるためのツールである「ポーズ」を深めることをします。

そのための練習を今回の

「きそきそよーが」や「クリパルヨガの基本」のクラスで練習します。

何度も繰り返し行うことで、慣れていきます。

そこで意識的に行ったことが、クリパルヨガのクラスで活かされていきます。

そしてそれは、どんなヨガをされていても使えるテクニックです。

今回自分の身体でやってみるとどうなるだろう!?

興味を持った方はぜひ続けて自分のヨガの時間に取り入れてみてください。

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今回の「きそきそよーが(前屈編)」で確認した

前屈の『3つのポイント』をここで確認しておきます。

①前屈とは「股関節の屈曲だ」→ヨガにおける前屈は背骨を曲げるポーズではない。

 (背面を伸ばすことが最優先ではないという認識の確認が大事。)

※今回のきそきそよーがの「前屈」は「陽のヨガ」です。

「エネルギーを動かす、プラーナの活性」という背景がある際の前屈です。

陰ヨガ、リストラティブヨガ、ヨガの種類によってはお腹の筋肉を完全に緩める場合があります。

何を目的にしているかによって、

「前屈」の認識は変わっていくことをご理解の上実践してくださいね。

②背骨を腰から伸ばす。

(背面を伸ばすことで、肺のスペースができて呼吸が深まり、

背骨のエネルギーの流れもスムーズになる。) 

③相反抑制作用を活かし、無理なく安全にポーズを深める。

 (私たち肉体に備わっている神経の働きを使う。)

そして③を生み出すからだの前側の筋肉(屈筋)を使うことを「プレスポイント」を

使ってバランス良く全身を扱っていく。

心地よい範囲で動き、ポーズを探り、あーここだなという場所が見つかったら、、、

委ね、ただ感じる。

どこに力みがあり、どこが緩んでいるのか、伸びすぎていたら戻る選択もある。

今起きている状態を丁寧に観察することを続けます。

これらを意識することで、前屈が「できる・できない」という評価から解放され、

今の自分に寄り添う時間へと変わります。

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前屈は、単に背面の柔軟性を試すものではなく、

自分自身との対話を深める機会でもあります。

クリパルヨガの視点を取り入れながら、

無理なく自然に相反抑制作用を活かし、

プレスポイントの手法を用いることで、

全体のバランス良く前屈のポーズを深めることができます。

「どこに力みがあるのか?」「どこが緩んでいるのか?」

この問いかけを大切にしながら、呼吸とともに感じてみてください。

この問いかけながら、観察しながらポーズを深めることを

クリパルヨガでは「エッジの探求」と呼びます。

ポーズの中で、これまで気づかなかった身体の変化に出会えるかもしれません。

そして、その気づきこそが私たちに変容を持たらし、

ヨガの実践や人生をより豊かなものにしてくれると信じています。

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございます。