20240204
<春の経絡『肝経』>
春は生命が芽吹き、万物が成長する季節。
自然のエネルギーが高まり、私たちの心とからだも新しいリズムに適応しようとします。
中医学では、この時期に特に重要なのが『肝経』です。
※もう一つの春の経絡『胆経』はこちら<春の経絡『胆経』>
●『肝経』の通り道。
足の親指の爪の人差し指側から始まり、足の甲の内側を通って
膝の外側を通り、肋骨下まであがり、再び肺経へ繋がる。
肝は「氣」の巡りをスムーズにし、血を貯蔵する働きを持ちます。
また、感情のバランスにも深く関わり、
ストレスが溜まると肝経の流れが滞りやすくなります。
春は、新しいことをはじめるエネルギーが高まる時期ですが、
その一方で気温や環境の変化が大きく、
自律神経が乱れやすい時でもあります。
また、春は冬に溜め込んだものを排出(デトックス)する時期でもあり、
この排出する作用と大きく関わる臓器が「肝」です。
肝は実にさまざまな働きをしますが、大きくは二つの作用があります。
- 疏泄作用(そせつさよう)・・・
全身の気の昇発運動(上へ外へ向かう運動)を促します。
この昇発運動が気血水の巡りや精神安定と関わっています。 - 蔵血作用(ぞうけつさよう)・・・
血を貯蔵する働きと、血量を調整する働きをいいます。
肝経が滞ると、以下のような症状が現れやすくなります。
- 目の疲れや乾燥
- 頭痛や肩こり
- 怒りっぽさやイライラ感
- 生理不順や月経痛
- 眠りが浅い、寝つきが悪い
- 精神的な不安定さや落ち込み
- 食欲不振や消化不良
肝臓の気が乱れるとイライラしたり、怒りっぽくなったりして、
精神が不安定になりやすいです。
自律神経の乱れや目の不調も引き起こしやすくなります。
このような「カンにさわる」という怒りを表す言葉も、
肝と関係しているのが納得できますね。
こうした不調を予防し、春のエネルギーを上手に取り入れるために、
肝経を整えるセルフケアや養生を取り入れましょう。
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●肝経を整える方法
① 春の食材を取り入れる
肝経の働きを助けるために、
春野菜を積極的に食べるのがおすすめです。
・青菜(ほうれん草、小松菜、クレソン、春菊など) → 肝を養い、血の巡りを促す。
・柑橘類(レモン、グレープフルーツ、柚子など) → 気の巡りを良くし、リフレッシュ効果。
・発酵食品(味噌、納豆、ヨーグルトなど) → 肝の働きを助け、腸内環境を整える。
また、酸味のある食材は肝経をサポートするとされ、適度に取り入れると良いでしょう。
春は「木」氣が盛んになります。成長のエネルギーです。
「酸味のある食材」その補充をしてくれますよ。
疲れや、忙しさから解放された後に起きるような頭痛である場合、
「レモン」の酸味が効く時が多々あります。
その時々に合わせて養生を調整してみてくださいね。
②肝経を刺激するストレッチ
肝経は脚の内側を流れる経絡。
足の内側や股関節から腹部を伸ばすストレッチが効果的です。
バタフライのポーズのように股関節から内腿がストレッチされるポーズはとてもおすすめです。
肝経を刺激するストレッチは同じく、冬の経絡『腎経』と通る道は違いますが
足元から上半身へ流れる方向が同じなので、ストレッチやポーズは共通するものが多いです。
ここにも季節のグラデーションを感じます。
③肝経を整えるツボ押し
日常生活の中で簡単にできるセルフケアとして、
ツボ押しやツボほぐしを取り入れるのも良い方法です。
・太衝(たいしょう)(足の甲、親指と人差し指の間)
気の巡りを良くし、ストレスやイライラを和らげる。
親指でゆっくり押しながら、3〜5回深呼吸。
(ここ、2月4日のクラスでも行いました。)
・期門(きもん)(乳頭から指2本分下)
肝の働きを活性化し、胸の張りやストレス解消に。
両手の指を重ねて、ゆっくり押してほぐす。
(ここ、めちゃくちゃ有効です。少々探しにくいですが・・・
春や、肝臓からの不調の施術に大活躍の場所。またクラス内で場所の解説いたしますね。)
④深呼吸でリラックス(重要)
肝経はストレスや緊張の影響を受けやすいため、
意識的に深い呼吸をすることも大切です。
・朝の新鮮な空気の中で、ゆっくりと深呼吸をする。
・呼吸に合わせて、「吸:肩をすくめる・吐:下ろして脱力」動きを繰り返し、余分な力を抜く。
・眠る前に短ければ5回ほど、時間があれば3分。ゆったりと腹式呼吸を行う。
自然の中での深呼吸や、ゆったりとした時間を持つことが、
肝経を整えるのに役立ちます。
肝経の巡りを整えることで、
心地よく春の流れに乗ることができます。
だんだんと春がやってくるのを待つように、
からだも心もゆっくりと緩み、開いていくのを待ちましょう。
食事、ストレッチ、ツボ押し、呼吸を通して、
自分自身をいたわる時間を大切にしてみてください。
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございます。