<手首をあたためると、首がゆるまる? – 外関と春のめぐり>
春の暖かさ、心地よさは、心もからだもふわふわと浮きやすくなる時期でもあります。
「首や肩が重いな」「頭がぼんやりするな」と感じる日が増えるのも、
ちょうどこの時季の特徴です。
春は東洋医学では「肝」の季節といわれ、
今目の前にある新緑たちのように、
エネルギーが内から外へとぐんと伸びていくとき。
けれど、日々の生活の中では、パソコン作業やスマートフォン、
目や神経を使う場面が多く、
のびやかに巡るはずの気が、頭や首まわりに滞りやすくなるのです。
そんなときに試してみてほしいのが、
「手首をあたためる」というセルフケア。
とくに、手の甲側にある外関(がいかん)というツボは、
春の不調にとても関係の深い場所です。
外関は、手首(一番細い部分)のシワから見ると指三本分ほど肘寄りにあるツボで、
「三焦経(さんしょうけい)」という経絡に属します。
この三焦経は、内臓のバランス調整や水分代謝、
そして頭・首・肩のめぐりに深く関わるとされます。
(この「三焦経(さんしょうけい)」内容は後日のコラムでお届けします。)
整体的に見ても、外関のまわりのこわばりが、
首の第6〜7頚椎の詰まりと連動しているといわれることがあります。
これは、外関まわりの筋膜や神経のつながりを通して、
からだの“上”と“下”が響き合っているような感覚です。
そのため、首こりや目の疲れがあるとき、まずは首を直接ほぐすよりも、
手首まわり、、、とくに外関のあたりをやさしくゆるめるほうが、
ふっと緊張がほどけることがあるのです。
春は成長のエネルギーが上昇することから、
からだの上部に不調が出やすいタイミング。
とくに風が強い日や気圧の変化が激しい時期は、
首すじが冷えて頭痛が出たり、
めまいやふらつきを感じたりする方も少なくありません。
外関は、そんな“上りすぎたエネルギー”を
やさしく整えてくれるようなツボなんです。
外関のケアを通して、気の巡りをスムーズにしてあげると、
春らしい軽やかさを心地よく味わえるようになります。
たとえば、朝の支度の前に、手首を温かいお湯で洗って、
外関あたりをやさしく円を描くようにマッサージしてみる。
あるいは、仕事の合間に、手をぶらぶらと振って、
手首から肩までの力をぬいてあげる。
セルフケアを始める時のようにくるくる摩擦して温める。
そんな小さな“ゆるめ”が、
首の奥にたまった緊張をふっとほどいてくれるのです。
ヨガやセルフケアのクラスでも、
動きはじめる前に手首をくるくると回したり、
そっと手のひらで手首を包んだりすることがあります。
それはただ関節を動かすというよりも、
「いま、ここにある自分」にそっと触れるような感覚を育てていく時間。
外関という小さなツボの奥には、
「心身はつながっている」という自然な知恵が息づいています。
この春、自分の首や肩に違和感を感じたときは、
まず自分の手をとって、あたためてみてください。
手首をあたためることが、首の緊張をほどき、頭の重さを軽くし、
今、この春の風をさらに心地よく受けとめる助けになるかもしれません。
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございます。