<心包経というもうひとつの心 – 「守られている」ことを思い出すとき>

<心包経というもうひとつの心 – 「守られている」ことを思い出すとき>

「どうしてこんなにドキドキするんだろう」
「誰かの言葉に、なぜこんなに胸がつまるのかな」

そんなふうに、胸のあたりがザワザワとする日があります。

からだはどこも痛くないのに、どこかが“苦しい”。

それはたぶん、心そのものが疲れているというサイン。

そんなとき、私の中でふと思い出すのが

“もうひとつの心”・・・心包(しんぽう)という経絡の存在です。

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「こころ(心)を守る膜」なんて、あるのでしょうか?

東洋医学では、「心」を直接刺激することはあまりしません。

心はとても繊細なものだから、


その“外側の膜”のような役割を果たす「心包(しんぽう)」を整えることで、

間接的に心を守り、ケアするという考え方があります。

「そんなふうに心を包む経絡があるなんて、、、はじめは腑におちず

とっつきにくい・・・

そう思った私は、寝かせていました。

そして思いついた頃、またいつものように、

身体の構造からこの“目に見えないもの”を探してみました。

アナトミートレイン(筋筋膜の連鎖)の観点から見ると、

心包経は「ディープ・フロント・アーム・ライン」に重なります。


このラインは、前腕の深層の筋膜筋肉から、上腕、胸筋、小胸筋、

そして横隔膜へと続いていくラインです。

「前腕の深いコリが、呼吸のしづらさにつながる」

「小胸筋の緊張が、なんだか“胸が苦しい”感じを生む」

このラインにそって触れていくと、まるで心の奥にまで

ふれているような、

不思議なやわらかさに包まれる瞬間があるのです。

トリガーポイントの世界では、

胸や上腕の緊張が

喉のつまり、感情の高ぶり、

呼吸の乱れとして現れることが知られています。

つまり、、、

心包経が通る場所には、

感情の“出口”や“受け皿”がになっているということ。


心包経の要となるつぼ、

「内関(ないかん)」「労宮(ろうきゅう)」などを

やさしく刺激することをおすすめします。

そしてもうひとつは心を守る働きをもつ「心包経」の原穴である

「大陵(だいりょう)」と合わせて緩めることが多いです。

手のひら側、手首の中央にあります。二つの筋の真ん中です。

内関は、前腕の真ん中、手首の内側にあるツボ。

ここをほぐすだけで、吐く息が深くなったり、

心臓の鼓動がゆるやかになるような感覚があります。

労宮は、手のひらの中心。

ここをほぐしていると、

不思議と心が“ほっと”します。

まるで、

自分で自分の手をとって「大丈夫」と言っているような、そんな感触。

「心包をふれることは、心にふれることなんだ」


そんなふうに感じられるようになったのは、

自分のからだで確かめてきたからこそだと思います。

整体をはじめた頃、理解が進まずなかなか「心包経」を活用できませんでしたが、

このアナトミートレインの観点を持つことで腑に落ちる感覚がありました。

心が疲れても、もし傷ついても、、、

私たちには「心を守る層」がちゃんと備わっている。

それが、心包という経絡のイメージです。


やさしく守り、そっと距離を取ってくれる。


そんな存在があると思えることが、

優しさになるし、

ストレスからも守ってくれるのだと思うんです。

ヨガやツボ、ほぐしや呼吸。

どれも“自分の心に近づきすぎない距離”で、

じわっと温かく、ふれてくれる手段です。

心包経は、身体をとおして心を守る。

だからこそ、

心がしんどいと感じる時には

まずは

「腕」や「手のひら」から

自分をいたわることをしてもらえたらいいなと思います。

整える、、緩めるのは、筋肉ではなく「心の空間」。

身体の6割は水分。それは「余白であり「空間」と捉えると、

「心」を感じやすくなりそうな何かヒントがありそうだと感じました。

ほぐしているのは、緊張ではなく「ゆとりの感覚」なのかなと。

じぶんの中の“もうひとつの心”

そのやさしい膜が、

今日もあなたを守っていますように。

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございます。