<土用の“土のエネルギー”とは?——季節と季節のあいだを生きる>
今日のクラスは、朝の『YIN YANG 30』。
陰と陽をゆるやかにめぐらせるヨガを行いました。
日中の暑さもやわらぎ、空気がすっかり秋めいてきましたね。
そして10月20日からは「秋土用」に入ります。
さて、この“土用”の「土」とは何でしょう?
陰陽五行で見ると、「土」は特別な存在です。
木・火・金・水という4つのエネルギーのあいだにあって、
どちらでもあり、どちらでもない——
いわば“間”をつなぐエネルギー。
春・夏・秋・冬、それぞれの季節を橋渡しするように、
季節と季節の間に「土」が巡ります。
だから、土用は年に4回。
どの季節にも訪れる“調整の時間”なのです。
土のエネルギーは、陰と陽のあいだを波のようにゆらぎながら、
次の季節へと私たちをやさしく導いてくれます。
そのゆらぎの中にこそ、からだも心も整えるチャンスがある。
たとえば今。朝晩は冷えて、日中はまだ少し暑いと感じたり。
どっちつかずなこの気候こそが「土用」そのもの。
”どちらでもあり、どちらでもない。”
その中間に、静かな呼吸を置いていきたいですね。
今日は五行の話をもう少し、私たちの感覚に近づけてみましょう。
季節や自然の移ろいだけでなく、
人の中にもこの5つのエネルギー——木・火・土・金・水——が流れているとされます。
たとえば、
「木の気が旺盛な人」は、のびやかで行動的。
まっすぐ成長し、挑戦する力を持っています。
「火の気が旺盛な人」は、明るく情熱的。
人を惹きつけるあたたかさと表現力があります。
「土の気が旺盛な人」は、やさしくて、調和を大切にする。
まわりを包み、支える安心感があります。
「金の気が旺盛な人」は、冷静で整える力がある。
美しさや秩序を大切にし、芯の強さを持っています。
「水の気が旺盛な人」は、静かで柔軟。
流れるように環境に馴染みながら、深い洞察を育てます。
でも、これは“傾向”であって、決してひとつの枠には収まりません。
その人が育った環境や経験によって、
どのエネルギーが強く表れるかは違ってきます。
この感覚をわかりやすく例えると……
関西人といえば「みんなツッコミをするの?」とたまに聞かれることがあります。
社会人になり上京した時、これでもかというくらいに言われました。
でも、私が育った家は全くそんなことはなく、困りました。
父はバリバリ関西人なのになぜか半分標準語で話す人、
母は九州生まれ、福岡県出身なので関西要素なし。
ツッコミはなく、どちらかというと、熱く議論を交わすような家庭で育ちました。
意見を言うのが当たり前ではっきり言わないといけない環境だったから、
気づいたときには、物事をはっきり言うタイプに育っていました。
そうするとどうでしょう——
“土”の要素が、控えめに育つんですね・・・
面白いです。
つまり、、例えば「関西人=明るくて賑やか!」「よく喋る」というのも、
あくまで“特徴”であって“絶対”ではない。
同じように、「土の人=おっとりしている」も、そうとは限りません。
お取りした中にもいろいろある。
この感覚で「陰陽五行論」を見ていくと、とても身近になります。
“木だからこう”“土だからこう”と決めるのではなく、
そのの中にあるいろんな要素が、どんなバランスで育ってきたのかを感じてみる。
どう見えているのかを感じてみる、
それが、この学びのいちばん面白いところでではないのかなと思っています。
・ ・ ・
“土の気質”には、2つの側面があります。
ひとつは、決めきれずに迷ってしまう「優柔不断さ」。
もうひとつは、相手を思いやり、場を和ませる「優しさ」。
でもそれはあくまで“特徴”。ここが、陰陽五行論の面白いところなんですね。
どんな性質にも、かならず陰と陽の両面がある。
そのどちらもが、バランスの中で生かされていく。
そして「土」という存在は、
乾きすぎても、湿りすぎても、
どちらも生きものを育てられません。
乾燥しすぎれば芽は出ず、
水をやりすぎれば根が腐ってしまう。
大切なのは、そのあいだにある“ほどよさ”。
ちょうどいいバランスの中で、いのちは息づきます。
私たちも同じ。
がんばりすぎず、ゆるめすぎず、
心とからだの水分を感じながら生きていきたいですね。
季節も、人も、どちらも“土”のように。
その真ん中に息づくやわらかさを、今日の呼吸に重ねてまいりましょう。
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございます。
