<土を整える冬の養生 – 土台が巡りをつくる>
小学生の頃、保健室の先生がよく言っていました。
「便が出にくい子は金魚体操しなさーい」と。
仰向けになって膝を左右に揺らす、あのやさしい動きです。
当時は「ああ、お腹を動かすんやね」と、ただ聞き流していた記憶があります。
自分は快便タイプだったこともあって、深く考えることもありませんでした。
でも今思うと、あれは理にかなったアドバイスだったのだと感じます。
あの揺らしの動きは、お腹も腰もふわりとほぐし、
“土” のエネルギーをやさしく養うケア。
揺れることで緊張が解け、
交感神経のスイッチが静かに落ちていきます。
その結果、自然と排便しやすいからだの状態へと導かれていくのです。
陰陽五行論をそのまま体現しているような金魚体操。
強いほぐしは”陽”。
優しいほぐしや手当ては”陰”。
そして、揺らすという波のような行き来のリズムは
陰と陽のあいだにある “土” のエネルギーそのものです。
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日本という土地には、もともと “土” の性質が強く流れています。
湿気が多く、“水” と近い暮らしをしてきた歴史の中で、
“土” がしっとりと息づくような風土が育まれてきました。
木造の家が多いことや、農耕民族として長く生きてきた文化からも、
この土地が持つ “土” の豊かさがうかがえます。
そんな風土の中で育った私たちのからだは、
外側よりも内側の声に敏感で、
小さな揺らぎや気配をとらえる力を自然と身につけてきました。
だからこそ、お腹を揺らす、手を当てる、ゆっくり呼吸を通すといった
“土” を整えるケアが、日本人のからだに深く響きやすいのだと思います。
一方で、冬の養生では
背面をめぐる膀胱経や、足裏から身体の前側へ立ち上がる腎経など
“水” の要素を整えることも欠かせません。
これらは冬のからだを深く支える、根っこのような存在です。
けれど、“水” の働きを深めるためには
その根を支える “土” が欠かせません。
“水” と同時に “土” も整えてあげることで
からだ全体のバランスはより穏やかに落ち着き巡ります。
“土” がやわらかく整っていなければ、
どれだけ “水” を注いでも土がなければ根付くことはできないのです。
からだも同じで、巡りを高めたいときほど
その土台となる “土” にそっと目を向けてあげることが大切です。
緊張が続きやすい方、頑張り屋さんのタイプほど
まず “土” をゆるめるステップが必要になります。
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“土” を養う方法は、揺らす・さする・ダラーんと力を抜く
そんなシンプルなケアだけではありません。
真ん中をあたため、ゆっくり満たし、余白をつくってあげることで
“土” は自然とふっくらと息をしはじめます。
たとえば・・・
・お腹や腰まわりをそっと温める(じんわり暖かいがおすすめです。)
・深い呼吸よりも「安心する呼吸」を味わう
・食べ過ぎず、よく噛んで“ちょうどいい満腹”を心地よく感じる
・甘いものなら自然の甘さ(芋・栗・南京おすすめ)をゆっくりいただく
・午後に5分だけ、なにも決めない静かな時間や瞑想時間をつくる
こうした「ふっと自分に還る」行為が、すべて “土” を養うケアになります。
“土” はいつもそこにあります。
揺らぎも緊張も、どちらも受け止めてくれる場所。
そこが整うと、“水” も “木” も ”火”“金” も自然と働きはじめます。
土を養うことは、全体を調えるということにつながるのです。
今日の自分自身は、何を求めているでしょうか。
陽の明るさや刺激なのか、陰のやさしさ落ち着きなのか、
それとも揺らぎの “土” なのかーー
その日の自分にそっと合うケアを選ぶことは、
自分を大切に扱うということと同じだと思うのです。
どうぞやわらかく、今日の “土” を感じてみてくださいね。
今日も最後までお読みくださり、ありがとうございます。
