<内腿は深前線の通り道 – 腰・脚・呼吸を結ぶ場所>


内腿は、からだ全体の中でも少し目立たない場所かもしれません。
けれど実は、ここは脚と骨盤、呼吸、
そして日常の動きまでをつなぐとても重要な通り道です。

腰痛やO脚っぽさ、脚の使いにくさ。
内腿のこわばりが強いと、下腹部や骨盤まわりの巡りが滞りやすくなって、
そうすると、こめかみや目の周りが張る、
ピントが合いにくい、という形で出る場合があります。
「肝経」の巡りが滞るという見立てができます。

もちろん、視力の急な変化や痛みが強い場合は、医療の確認が大切です。
その上で、日々のセルフケアとして内腿と呼吸を整えると、楽に感じる方もいます。
「病気」と言えるほどではないけれど、なんとなく続く違和感。
そうした小さなサインが、内腿の状態と関係していることは意外に多くあります。
ここで起きる状態は内腿とつながっている横隔膜とも、よく似ています。

一見つながらなさそうな不調が、ここに集まりやすいのは偶然ではありません。
内腿の中心になるのは、身体でいうと内転筋群と呼ばれる筋肉たちです。
脚を内側に寄せる働きを持ち、骨盤の内側から大腿骨、膝の内側へとつながっています。
この内転筋群は、脚の動きだけでなく、骨盤の位置や安定性にも深く関わっています。


内腿がこわばると、骨盤はわずかに引っ張られ、
腰まわりの筋肉が代わりに支えてバランスを取ろうとします。
その結果、腰の張りや違和感が腰痛として現れ、慢性化しやすくなります。

O脚っぽさとの関係も、内腿の働きが鍵になります。
内腿がうまく使えないと、
脚は外へ逃げるような使い方になりやすく、膝や足裏のバランスが崩れます。
反対に、内腿が常に力を入れ続けている場合は、
股関節の動きが制限され、外腿や腰が過剰にがんばることに。
どちらの場合も、問題は形ではなく、どう使われているか。
内腿は、脚の軸や重心の取り方を左右する場所なのです。

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ここで少し、内腿の筋肉のひとつ薄筋について触れておきます。
薄筋は、内腿の表面にある細長い筋肉で、
骨盤の内側から膝の内側へ斜めに走っています。
脚を内側に寄せる働きに加えて、膝の安定を支えるサポート役でもあります。

そしてこの内側のラインは、
YOGATOで大切にしている”深前線”のつながりにも重なります。

▶︎深前線についてはこちらもご参照ください


足裏の内側から、内腿、骨盤の奥へ。
そこから呼吸の中心である横隔膜へと、
感覚がひとつの道として続いていく。
そんな見方ができます。
この薄筋にトリガーポイントができると、
膝の内側の違和感や不安定さとして感じられることがあります。
膝そのものに問題があるように思えても、
実は内腿の緊張が影響しているケースも少なくありません。

内腿の真ん中あたりの陰包(いんぽう)から、
膝の内側の曲泉(きょくせん)にかけては、反応が出ることが多い場所です。
そして、内腿のトリガーポイントができやすい場所も、
まさにこのあたりなのです。

深前線の通り道にぎゅっと力が集まっているとき、
脚の内側だけでなく、骨盤まわりや呼吸の深さにも影響が出やすくなります。
だからこそ、痛みを追いかけて強く押したり揉んだりするのではなく、
内側のライン全体がゆるむ余地をつくるように触れていくことが、
遠回りに見えて一番確かな近道になることがあります。

強く伸ばしたり、無理に変えようとする必要はありません。
押している感覚は必要だけれど、痛いほどは押さない。揉まない。
触れて、呼吸をして、今の感覚を確かめる。
内腿は、そうしたやさしい関わりに、とても正直に応えてくれる場所です。

最後までお読みくださり、ありがとうございます。