<パリガ・アーサナ – 体側のひらきと、春の巡り>

春の光が明るさを増すにつれ、
私たちのからだも冬の閉塞感から抜け出し、
外へと広がる準備を始めています。この時期、
特に意識を向けたいのが「側面」のひらきと、
そこから生まれる「全身の連動」です。

今日のクラスでは、膝立ちで行う「パリガ・アーサナ(門のポーズ)」と、
そこから手を床について大きく腕を回すバリエーションを軸に、
からだの隅々まで風を通す時間を持ちました。

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パリガ・アーサナは、単純な横に動くポーズに見えるかもしれませんが、
実はとても緻密なからだのつながりを必要とします。

まずは土台となる膝・すね・足の甲と、
横に伸ばした足の裏で大地をしっかりとプレスすること。

(ここで膝が痛む方はうおざきにご相談ください。

他のヨガの動きができている場合ポジションの問題であることが多いです。)

そして、「腰を立てる」です。

前も後も使っているニュートラルなポジションから体側を開いていきます。
そして横に倒れる形になるバリエーションでは、
手を横の床へついて降りたとき、
もう一つのさらに大切なプレスポイントが生まれます。

それは、「恥骨をそっと前に押し出す」こと。
後屈と同じくらいの感覚で押し出します。

この繊細な意識ひとつで、
骨盤周りの「ハブ(中継点)」がカチッと安定します。
すると、床をプレスする手の力が、体幹を斜めに横切って反対側の脚へと響き渡る。


アナトミートレイン(筋筋膜の連鎖)で
「機能線(ファンクショナル・ライン)」と呼ばれるこの対角のつながりが、
からだを一本のしなやかなバネのように整えてくれるのです。

▶︎アナトミートレインの機能線の解説はこちらからどうぞ。

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土台と中心が安定しているからこそ、
回している方の腕は、肩の力みに頼ることなく、
背中の奥や反対側の足裏から湧き上がる力で、大きくひらかれます。
脇の下の前鋸筋や広背筋が目覚め、胸や肋骨がふんわりと広がる。 
肺が膨らむための十分なスペースが生まれることで、
呼吸の質が静かに、そして劇的に変化していくのがわかります。

東洋医学の暦の視点では、春は「肝」の気が高まる季節です。 
からだの側面を通る「胆経」の流れを整えることは、
春特有の滞りや自律神経の揺らぎを、穏やかに静めてくれます。

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からだの側面がひらいてくると、私たちは不思議と前向きな開放感を覚えます。 
上体を倒す深さにこだわるのではなく、
「今」自分の内側にどれだけ大きな巡りの「X(機能線)」が描かれているか。
その微細な変化に意識を向けることこそが、内観としてのヨガの醍醐味です。 

春の芽吹きのように、内側からゆっくりと、
でも力強くひらいていくパリガ・アーサナ。
クラスを終えたあとのからだには、
心地よい巡りと、大地に根ざした静かな安定感が共存しています。 
からだという「門」をひらくだけで、
世界との関わり方は、少しだけ軽やかになるはずです。

今日も最後までありがとうございます。