春は、陰から陽へと移っていく季節。
からだの内側では、冬のあいだ静かにためてきたものが、
少しずつ外へ向かって動きはじめます。
この時期は、まさに陰陽の切り替わりのタイミング。
その変化は、東洋医学でいう
春の経絡、胆経と肝経の流れによく表れます。
陽の「胆経」は目尻から首肩を巡り身体の側面を走ります。
陰の「肝経」は足元から骨盤を通って肋骨へ最終的には胸下へと向かう。
ここ”期門”が経絡の最終地点でもあります。
この流れが滞りなく動くかどうかが、
春を心地よく迎えられるかどうかに大きく関わってきます。
切り替わりの時期に大切になるのは、
勢いをつけることではなく、
巡りが自然に起こる準備を整えること。
その要となる場所が、前鋸筋と肋骨まわりです。
肝経の終点は、胸の下。
(6本目の肋骨の下の”期門”。)
感情や血、気の巡りが集まる場所であり、
同時に、滞りやすい場所でもあります。
特に女性の胸は、
筋肉よりも脂肪が多く構造的にも血流や熱が届きにくい。
そのため、冷えやすく、巡りが滞りやすい。
私はこれまでの経験から、この「見えにくい滞り」が長く続くことが、
乳房の不調にも影響していると感じています。
これは医学的な断定ではなく、
養生の視点から見た、ひとつの実感です。
だからこそ、胸を「直接」温めるのではなく、
胸につながる通り道を整えることが大切だと感じています。
前鋸筋は、肋骨と肩甲骨をつなぎ、呼吸と動きを橋渡しする筋肉。
ここがやわらかく動くと肋骨の間に呼吸が入り、
胸の内側に、血と気が巡りやすくなります。
逆に前鋸筋がこわばると、
呼吸は浅くなり、
肋骨は動かず胸に温かさが届きにくくなってしまう。
前鋸筋の動きは、胸の「温かさ」にも、確かにつながっています。
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春へ向かう準備は、勢いではなく緩やかに始まっていく。
無理に動かそうとしなくても、
からだはちゃんと、次の季節を感じ取っています。
必要なのは、押し出す力でもなく、
無理やり開こうとするのでもなく、
温かさが自然に届く通り道をつくること。
前鋸筋と肋骨をゆるめることは、
その通り道をそっとひらくことだと思います。
内側から巡りが戻り、
気づけば、胸の奥に小さな温もりが灯っている・・・
春へ向かう、その静かな切り替わりを、
からだの感覚とともに、
楽しみながら一緒に味わっていきましょう。
今日も最後までありがとうございます。
