<からだの構造から、自律神経の調律へ。 ― 春の自律神経セルフケア>



これまでのTrpYT(トリガーポイント・ヨガセラピー)では、
主に筋筋膜のつながりやトリガーポイント整体テクニックから、
からだの痛みや不調へのアプローチ、「滞り」を解いてきました。
けれど社会の変化の中にいる今、同時に大切にしたいのは、
さらにその奥にある「自律神経」という微細なリズムの調律です。

春は、エネルギーの司令塔である「肝(かん)」が昂ぶりやすい季節。
本来スムーズに巡るはずの「気」が、上半身や頭へ昇りすぎてしまうことがあります。


顔の火照りや冴えすぎる目、理由のない焦燥感……。
それらは、上がりすぎた気の仕業かもしれません。
そこで大切になるのが、からだの真ん中に意識を戻すことです。

お腹の真ん中、みぞおち周辺の「正中心」は、
感情やストレスの火種が真っ先に集まる、きわめてデリケートな聖域です。
ここが整うと自律神経もリラックスする方向に向く、非常に便利な場所。
ですがここに強い刺激を与えてしまうと、からだは無意識に「攻撃された」と判断し、
守ろうとして余計に硬くなってしまいます。
これでは、自律神経を整えるつもりが、逆効果になりかねません。

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だからこそ、今回の時間はあえては中心には直接触れず、
指一本分「お隣」を通る「腎(じん)」のラインを優しく解いていきます。


腎は、大地に深く根を張るアンカーのような場所。
このラインをゆらゆら揺らしたり、そっと撫でたりして外側から緩めていくと、
真ん中の緊張は誘われるように自然とほどけていきます。
この2つのラインは深く影響しあっています。

昇りすぎていたエネルギーが、深い根っこへと引き戻されていく。
東洋医学ではこれを「滋水涵木(じすいかんぼく)」と呼びます。
水が木を養うように、腎の潤いが肝の昂ぶりを静かに鎮めてくれるのです。

真ん中にある「任脈」という流れの海を、隣にある「腎経」という大地が支える。
この二つのラインの調和が取れたとき、
不思議と呼吸は深く、静かになります。
それは、物理的な圧をかけるのとは違う「静寂による調律」。

外側の世界がどれほど変化しても、
私たちの真ん中には、常に静寂が眠っています。
そこに戻る術を知っているだけで、
春のゆらぎは、もっと優しく、心地よいものに変わっていくはずです。
今日の心とからだが、穏やかな巡りとともにありますように。

最後までお読みくださり、ありがとうございます。