<お腹のセルフケアと「だるさ」について>
– からだが感じていること、からだが教えてくれること –
セルフケアのあと、特にお腹まわりをじっくりケアした後に、
「だるさ」や「重たさ」を感じることはありませんか?
あるいは、何とも言えない疲れのようなものが
出てくる方もいるかもしれません。
実はそれ、体が “深く変わり始めた” 合図かもしれません。
この「だるさ」「重たさ」は何なのか?について詳しく整体の観点から
書いてみたいと思います。
●「体節(たいせつ)」という考え方
私たちの身体は、実は「分節構造(ぶんせつこうぞう)」になっています。
少し専門的な言い方ですが、
「竹」の節のように、身体もいくつかの節を重ねるようにできていて、
それぞれがある程度独立して機能しているという考え方です。
このひとつひとつの節を「体節(たいせつ)」と呼びます。
昔のおもちゃに「だるま落とし」というものがありました。
小さな木のだるまを、下からトンっと叩いて、
段々に重なったパーツを順番に落としていくものです。
あのだるまのように、
私たちの身体も節を積み重ねたような構造になっていて、
筋肉、神経、皮膚、内臓、骨が、
その節ごとにグループとしてまとまって働いていると捉えられています。
●痛みやだるさは、どこから来ているのか?
チェコの医師、カレル・ルイ氏は
「痛みや感覚の違和感には“体節のリンク”を見なければならない」
と述べています。これはどう言うことなのか?
たとえば、
背骨や神経の問題?
内臓の疲れや働きすぎ?
皮膚やツボ、反射区の影響?
筋膜や筋肉のつながり?
どれかひとつが原因というより、これらが互いに“リンク”しあって、
痛みやだるさ、違和感を生み出していると考えられます。
つまり、ひとつの場所を触れても、
それが全体に波のように影響することがある。
お腹をほぐしたときに腰が軽くなったり、
呼吸が深くなったりするのも、こうしたからだのつながりの現れです。
・ ・ ・
五行論で「お腹」は主に“脾(ひ)”と“胃(い)”のエリア。
土のエネルギーに属し、
季節でいえば「土用の時期」や「晩夏(初秋)」の頃に対応しています。
“脾”は消化吸収を担い、同時に「気」の源とも言われています。
ここが弱ると、だるさ、思考の鈍さ、やる気の低下、
重だるさとして現れます。
つまり、お腹のケアは「気」を整えること。
心身の「中央軸」を立て直すことにもつながっているのです。
でもだからこそ、しっかりケアをしたあとは、
一時的にからだが“だるく”なるのも自然なことなのかもしれません。
たとえるなら、長く締めていたコルセットを外したときのような
「ぐにゃっ」とした感じ。緩んで開放されているけど、なんだか心許ない。
あるいは、身体が緊張を手放して「脱力」した状態。
これらはすべて、からだが「整う途中のサイン」なのです。
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ここで大切なのは「まんべんなく、バランスよく」です。
整体でも、ヨガでも、東洋医学でも共通していることがあります。
それは「部分」ではなく「全体」で見ること。
どこか一箇所に原因を求めすぎず、
まんべんなく、バランスよく、
ちょっと離れて、俯瞰して全体像を観ていくことが大切です。
ケアの後に出てきた“だるさ”も、
「効いた証拠」とは限らず、「変わっている途中」の可能性があります。
とくにお腹という“中枢”に働きかけたあとは、
しっかりお水を飲んだり、静かに過ごしたりして、
回復のプロセスを見守る時間をもってあげましょう。
感覚と理論、どちらも大切にしたいですね、
からだの感覚は、とても正直です。
そして、そこに理論をそっと添えると、
少し安心して見守れるようになります。
「なるほど、今は“整う途中”なんだな」と思えるとき、
からだはもっと素直に、ゆっくりと元に戻っていきます。
今日も、自分のからだに耳を傾けて。
あなたの内側にある自然なバランスを、そっと応援できますように。
そして最後に大事な対策を、
もしセルフケアのあとに「だるさ」や「重たさ」を感じたときは
からだが変化に向かって動き出している合図かもしれません。
そんなときは、次の2つをぜひ意識的に取り入れてみてください
① 腿やお腹、臀部などの大きな筋肉をやさしく摩ること
→ 触れることで滞りや気の流れを促します。
② お水をたっぷり飲むこと
→ 体液の循環を助け、老廃物の排出やリセットが進みやすくなります。
特にこれからの時期は発汗も多いので注意してみてください。
セルフケア後には必ずお水を摂りましょう!
どちらもとてもシンプルですが、からだが変化に馴染みやすくなり、
心も落ち着いていくのを感じられると思います。
そして強い「だるさ」や「重たさ」を感じた時は湯船に長く浸かるのは
やめておきましょう。「だるさ」や「重たさ」の感覚を増長します。
セルフケアは自分のペースで、焦らず、じんわりです。
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございます。