<お腹のセルフケアと「だるさ」について>

<お腹のセルフケアと「だるさ」について>

– からだが感じていること、からだが教えてくれること –

セルフケアのあと、特にお腹まわりをじっくりケアした後に、

「だるさ」や「重たさ」を感じることはありませんか?

あるいは、何とも言えない疲れのようなものが

出てくる方もいるかもしれません。

実はそれ、体が “深く変わり始めた” 合図かもしれません。

この「だるさ」「重たさ」は何なのか?について詳しく整体の観点から

書いてみたいと思います。

「体節(たいせつ)」という考え方

私たちの身体は、実は「分節構造(ぶんせつこうぞう)」になっています。

少し専門的な言い方ですが、

「竹」の節のように、身体もいくつかの節を重ねるようにできていて、

それぞれがある程度独立して機能しているという考え方です。

このひとつひとつの節を「体節(たいせつ)」と呼びます。

昔のおもちゃに「だるま落とし」というものがありました。

小さな木のだるまを、下からトンっと叩いて、

段々に重なったパーツを順番に落としていくものです。

あのだるまのように、

私たちの身体も節を積み重ねたような構造になっていて、

筋肉、神経、皮膚、内臓、骨が、

その節ごとにグループとしてまとまって働いていると捉えられています。

痛みやだるさは、どこから来ているのか?

チェコの医師、カレル・ルイ氏は

「痛みや感覚の違和感には“体節のリンク”を見なければならない」

と述べています。これはどう言うことなのか?

たとえば、

背骨や神経の問題?

内臓の疲れや働きすぎ?

皮膚やツボ、反射区の影響?

筋膜や筋肉のつながり?

どれかひとつが原因というより、これらが互いに“リンク”しあって、

痛みやだるさ、違和感を生み出していると考えられます。

つまり、ひとつの場所を触れても、

それが全体に波のように影響することがある。

お腹をほぐしたときに腰が軽くなったり、

呼吸が深くなったりするのも、こうしたからだのつながりの現れです。

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五行論で「お腹」は主に“脾(ひ)”と“胃(い)”のエリア。

土のエネルギーに属し、

季節でいえば「土用の時期」や「晩夏(初秋)」の頃に対応しています。

“脾”は消化吸収を担い、同時に「気」の源とも言われています。

ここが弱ると、だるさ、思考の鈍さ、やる気の低下、

重だるさとして現れます。

つまり、お腹のケアは「気」を整えること。

心身の「中央軸」を立て直すことにもつながっているのです。

でもだからこそ、しっかりケアをしたあとは、

一時的にからだが“だるく”なるのも自然なことなのかもしれません。

たとえるなら、長く締めていたコルセットを外したときのような

「ぐにゃっ」とした感じ。緩んで開放されているけど、なんだか心許ない。

あるいは、身体が緊張を手放して「脱力」した状態。

これらはすべて、からだが「整う途中のサイン」なのです。

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ここで大切なのは「まんべんなく、バランスよく」です。

整体でも、ヨガでも、東洋医学でも共通していることがあります。

それは「部分」ではなく「全体」で見ること。

どこか一箇所に原因を求めすぎず、

まんべんなく、バランスよく、

ちょっと離れて、俯瞰して全体像を観ていくことが大切です。

ケアの後に出てきた“だるさ”も、

「効いた証拠」とは限らず、「変わっている途中」の可能性があります。

とくにお腹という“中枢”に働きかけたあとは、

しっかりお水を飲んだり、静かに過ごしたりして、

回復のプロセスを見守る時間をもってあげましょう。

感覚と理論、どちらも大切にしたいですね、

からだの感覚は、とても正直です。

そして、そこに理論をそっと添えると、

少し安心して見守れるようになります。

「なるほど、今は“整う途中”なんだな」と思えるとき、

からだはもっと素直に、ゆっくりと元に戻っていきます。

今日も、自分のからだに耳を傾けて。

あなたの内側にある自然なバランスを、そっと応援できますように。

そして最後に大事な対策を、

もしセルフケアのあとに「だるさ」や「重たさ」を感じたときは

からだが変化に向かって動き出している合図かもしれません。

そんなときは、次の2つをぜひ意識的に取り入れてみてください

① 腿やお腹、臀部などの大きな筋肉をやさしく摩ること

 → 触れることで滞りや気の流れを促します。

② お水をたっぷり飲むこと

 → 体液の循環を助け、老廃物の排出やリセットが進みやすくなります。

 特にこれからの時期は発汗も多いので注意してみてください。

セルフケア後には必ずお水を摂りましょう!

どちらもとてもシンプルですが、からだが変化に馴染みやすくなり、

心も落ち着いていくのを感じられると思います。

そして強い「だるさ」や「重たさ」を感じた時は湯船に長く浸かるのは

やめておきましょう。「だるさ」や「重たさ」の感覚を増長します。

セルフケアは自分のペースで、焦らず、じんわりです。

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございます。