<お尻がやわらかくなると股関節も自由になる。
– 前後のバランスとアーサナの可能性。>
からだを整えたり、ヨガを実践していると
「股関節をやわらかくしたい」と思うこと、ありませんか?
けれど、どうしても注目が集まりやすいのは前側・・・
常に見えていますから意識が向いて当然なのです。
太ももの付け根や前もも、内もも、恥骨まわりなどです。
たしかに、それらをゆるめることは大切。
でも、それだけでは股関節本来の柔軟性は、なかなか育ってくれません。
実は、背面、とくに「お尻のやわらかさ」が深く関係しているのです。
股関節の動きの中でも、
「脚を後ろに引く(伸展)」や「股関節を外に開く(外旋)」には、
お尻の奥にある筋肉がしなやかに縮まる力が必要です。
「脚を後ろに引く(伸展)」動きでは、
お尻とともに裏もも(ハムストリングス)もしっかりと働き動きがコントロールできます。
でももし、お尻がかたくて縮む力を失っていたら?
前ももや内もも、恥骨まわりをどんなにゆるめても、
背面が使えなければ、動きの“引き寄せ”は起こらないのです。
関節の可動域は、ただ「ゆるんでいる」だけでは広がりません。
縮まるところはきちんと縮まり、ゆるむところはゆるむ。
この“前後のバランス”があってこそ、関節は本来の自由さを取り戻します。
とくに股関節は、からだの軸に関わる大切な関節であり、
骨盤や仙骨とも深くつながっています。
お尻まわりがゆるみ、縮まる力を取り戻すことで、
股関節は安心して開き、自由に動き出せるようになります。
だからこそ、ストレッチだけでなく、
「お尻をやわらかく縮める」ためのケアや動きがとても大切なのです。
ヨガでは、片脚を胸に引き寄せるポーズや、
仰向けでのお尻の筋肉の収縮と弛緩、
あるいは仙骨まわりをゆるめる動きが、
この“お尻の縮まる力”を回復させてくれます。
たとえば胡座(あぐら)の姿勢。(股関節の屈曲&外旋)
膝を開いて床方向に下ろすには、お尻側・背面が縮む必要があります。
これは、からだのどの関節にも言えること。
だからこそ、前側だけでなく「後ろ側」もよく使っていきたいのです。
後ろは、ふだん意識が向きにくい場所。
だからこそ「見てみよう」「使ってみよう」という意識が、からだを変えていきます。
そしてこの柔らかさは、関節だけでなく、
姿勢や歩き方、日常の動作にも影響してきます。
腰が重たく感じる日、足がだるい日。
そんなときこそ、前側ばかりでなく“後ろ側”を意識してみてください。
背面、お尻、仙骨……
ふだんあまり意識の向かない場所に、じんわりと呼吸を送ってあげる。
すると、前側の緊張もすこしずつほどけていくのがわかるはずです。
前と後ろ。
ゆるむことと、縮むこと。
どちらか一方ではなく、
両方があって、私たちのからだはバランスを取り戻します。
今日はぜひ、お尻の奥のほうにやさしく手を当てるような気持ちで、
「ここも動いていいんだよ」と声をかけながら動いてみてください。
前側ばかりにがんばらせなくても、大丈夫。
動かない日であれば、
仙骨やお尻に、そっと温かい手を添えてみる……
それだけでも十分です。
後ろ側もまた、あなたの動きを支えてくれる、
大切な味方なのです。
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございます。