<静けさに触れる – やさしい時間と内側のやわらぎ>
ジェントルのクラスを終えたあと、ふと皆さんの顔を見合わせると、
表情がやわらかくなっているのに気づくことがあります。
頬のこわばりが抜け、呼吸が広がり、目の奥まで柔らかい光が宿る。
その姿を見ていると、この時間に起こっていた変化が自然と伝わってきます。
大きな動きや強い刺激をしたわけではありません。
呼吸に合わせてからだを揺らし、ゆるめ、ただ静けさに触れていく。
その穏やかなプロセスの中で、副交感神経が働き、
心とからだはバランスを取り戻していきます。
季節の変わり目に外からの影響を受けやすい私たちにとって、
こうした静かな回復の時間はとても大切です。
同じクリパルヨガでも、モデレートのクラスではまったく違う体験が生まれます。
一つのポーズをとるとき、全身を繊細に、
けれど力強く扱いながらその姿勢を保ち続けます。
筋肉、筋膜、細部の肉体、、、そして呼吸の働きが鮮明に立ち上がり、
からだ全体が目覚めていくような感覚。
その中でポーズが持つエネルギーや質感に触れ、
自分の内側にある強さや集中力に出会います。
一方、ジェントルではその同じポーズに力を抜き、呼吸に委ねていきます。
静けさの中で、やさしい安心感や解放感に出会い、
余白の中でからだが自然にほどけていくのを感じます。
モデレートとジェントル。
体験は対照的ですが、
どちらも「今ここにある自分」をそのまま受けとめることへ導いてくれます。
その違いにこそ、クリパルヨガの奥深さと面白さがあるのだと思います。
静けさに触れることは、特別な技法ではありません。
少し動きをやさしくしてみる。呼吸の間を味わう。目を閉じて内側に意識を向ける。
それだけで、からだは自然にやわらぎを取り戻していきます。
そして、その感覚は日常にも持ち帰ることができます。
食事の前に一呼吸おく、眠る前に胸に手を添えて呼吸を感じる。
そんな小さな実践が静けさを呼び戻し、暮らしを整えてくれるのです。
クラスの最後に見える笑顔は、その変化を映し出しています。
形を完成させることではなく、内側の変化に気づいたときに自然に現れる笑み。
その瞬間に立ち会えることが、私にとっても大きな喜びです。
ご一緒できる時間に、いつも感謝しています。
秋のはじまりに触れるこの季節。
外の環境が揺らぐときだからこそ、内側の静けさを思い出すことが必要です。
ジェントルのやさしい時間は、その静けさに出会う入口となり、
からだに備わるやわらぎを呼び覚ましてくれるのだと思います。
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございます。
